犯罪者の自伝や回顧録の出版規制の歴史
イギリスでも日本と同じく、犯罪者による自伝や、犯罪記録の出版に対する法規制が議論になった例があります。
代表的な例の一つは、1989年に出版された「The Blake Escape: How We Freed George Blake and Why」です。George Blake は、MI6とKGBの二重スパイで、イギリスで服役中でしたが、過激な平和活動家であるMichael Randle とPat Pottleの手引きで、1966年に脱獄します。この書籍は、脱獄方法を詳しく書いたものです。これはイギリス歴史上、最もドラマティックな脱獄だったと呼ばれています。脱獄後一週間ほどMI5が事実に気がつかず、さらに、1989年に脱獄の詳細が明記された書籍が出版されたにも関わらず、MI5の足並みが遅く、Randle とPottleはしばらく逮捕されなかったために、イギリス政府は大恥をかきます。ちなみに、この出版により、Randle とPottlは出版社から3万ポンド(1ポンド180円として約540万円)を得ています。
イギリス高等法院は、この書籍から筆者が得た利益は、犯罪から得たものに相当し、利益は没収に値する可能性がある、としています。Blake自身の回顧録「No Other Choice」も1990年に出版されるのですが、長年恥をかかされてきたイギリス政府は、ありとあらゆる方法で出版を阻止しようとします。
政府を訴える犯罪者
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