「学び方を学ぶこと」が、成功への近道になる
引き続き、僕は、先ほどの喫茶店で、紳士と話をしていた。
「君は、勉強ができたほうかな?」
「僕は普通の高校から、ごく普通のちょっと名の知れた都内の大学に行きました。そこでも特別頭がいいほうではなく、就職もそこそこのところへ……」
「残念ながら70年続いた日本の受験システムが若者の芽を潰してしまっているのは事実だ。学校は勉強は教えるが、学び方は教えないからね。勉強ではなく、まず、学び方を学ぶべきなんだ」
「受験と頭のよさはあまり関係がないのは、受験をしている時にすでに感じてましたよ。こんなことに、なんの意味があるのだろう、って」
「勉強ができない子ほど、勉強というと、ひたすら問題集を解いているイメージを持つだろう。しかし、勉強ができる子は、問題集を解くことは、自分の理解を確認する“作業”として行なっているにすぎない。それは勉強そのものではなく、勉強の“一部”だとわかっている。勉強とは、まず全体の計画があって、実行してみて(つまり問題集を解いてみて)、結果を確認して、計画を変更するという一連のプロセス全体だとわかっている」
「なるほど。僕は前者でしたね。塾に行きたくなかったから、ひたすら問題集をやってました。問題集を覚えるくらい……」
『計画・実行・修正』のサイクルを回す
「君が今受験生だとしよう」
「はい」
「君は何から始める?」
「志望校の問題集を買ってきて、問題集をひたすら解いて……」
「勉強のできる子、仮にA君としよう。A君は、最初にこう考える。まず、受験をクリアするのに必要な項目を全部出してみよう。120項目あるのか。これで全部かな? よし、ではこれを全部やるのにどのくらいの時間がかかるだろう? 1200時間くらいだろうか? 必要なお金は? 60万円かな? それを工面するには……と。合格までに必要な要素をすべて出し、計画を立てる。計画ができたら、実行に移す。つまり、ここで初めて問題集を開く。それで、いざやってみると、3割くらいしかできないことがわかる。
そこで考える。あと7割を習得するためにはどのくらいかかるのか。そのためには、プランを変更する必要がある。しかも、ちゃんと事実を言語化(数値化)して修正する。と、こういう具合に、計画(Plan)、実行(Do)、そして結果をフィードバックしていく(See)の『仕組み』を作る」
「なるほど。『計画・実行・修正』がセットになっている」
「この3つが機能して、初めて『勉強』となるんだ」
「勉強のできない子は、問題集を解くという『実行』しかしないんだ」
「そうだ。そして失敗すると『努力』が足りなかったと嘆く。ひどい時などは『気合い』が足りなかったとなる。気合いで合格したら、すべての予備校は潰れるよ」
「計画・実行・修正」のサイクル
「サイクル」を回せば、「失敗」という概念がなくなる
「計画・実行・修正をどれだけの回数、どれだけの速さで回すか、物事の習得の仕方はそれだけにかかっているんだ。ここで大事なポイントがある。何かわかるかな?」