引っ越してから3年もたつのに、いまだに中央線に乗ると胸がキュンとする。
生まれ育った沿線というのもあるけど、大好きな飲食店がたくさんあるからかなー。
中でも、吉祥寺は特別。
学生時代から12年間住んだ吉祥寺のマンションは、
メイン商店街であるサンロードを過ぎてすぐのところにあった。
ちょうど人通りが少なくなり、その先へ行くと店舗が減るあたり。
その通りに、ある日、不思議な店ができた。
わが家からは、徒歩1分。今を去ること10年近く前の話ですね。
看板らしきものはなく、小さな覗き窓がついた茶色い引き戸が一枚。
よーく見ると、手書きのような文字で壁に『わ』とだけ書いてある。
なんだろ、ここ?
オープン数日後に行ってみると、暗めの照明に、うなぎの寝床のような店内。
カウンターの中には恰幅のいいヒゲの男性がいて、
「いらっしゃいませ!」とハリのある大きな声!
聞くと、なんとホルモン屋さんだとか。へえ——。
満面の笑顔にキレのある接客が印象的な店主は、光山英明さん。
バリバリの大阪弁で、ご出身は大阪の生野だそう。
なんと、あの生野……!
ガラの悪さは関西屈指(失礼!)だけど、
おいしい焼き肉店のメッカじゃないですか。わー、楽しみすぎる。
結局、この日食べたホルモンのあまりのおいしさにヤられ、
引っ越すまでの間、夜な夜な一人で通い続けることになるのでした。
やー、びっくりした。あんなホルモン初めて食べたわ。
質の良いプリプリホルモンにオリーブオイルと塩をかけて出し、タレはなし。
炭火の燃える七輪でジュージュー焼いて、ビールと芋焼酎ロックをごくごく。
しかも、食べ物も飲み物も一律500円!
いろいろな意味で目からウロコだったなあ。
今は自宅から徒歩1分ではなくなったので、
深夜1時にひとりでホルモンをつつくこともなくなった。
でも、私の吉祥寺案内には絶対欠かせないお店だし、
誰かにホルモンの名店を聞かれれば「『わ』に行きなよ~」と言っている。
最近は近隣の漫画家さん(吉祥寺は漫画家さんが多く住んでいる)が多数常連となり、
壁はサインやイラストで埋め尽くされております。
常連である西原理恵子先生が、『わ』のことを描いた漫画のポスターも。
ひゃー、愛されてますなあ。
というわけで、今回は久々に(と言っても3か月ぶりか……)伺ってみました!
最近は、これまたナイス接客のタツコちゃんがメインでお待ちしているそう。
わーい、おじゃましまーす!