自分のペースを保って生きたい
「できるだけ働かずに生きていきたい」とずっと思ってはいるんだけど、やっぱり現金が完全になくなると生きていけないので、最近は少しずつ仕事をしたりしている。どんなことをやってるかというと、原稿を書いたりとかウェブサイトを作ったりとか、自分の好きなことの延長線上にあって、家で自分のペースでできるような仕事なんだけど。あとはたまに友達に雑用を頼まれて少しお金をもらったりとか(長期旅行中のペットの世話とか)、細かい小銭稼ぎをちょこちょこやっているという感じだ。
でもまあ、あんまり働く気がないので収入は低い。年収は大体毎年百万円前後くらいだ。それでどんな風に暮らしているのかという毎月の家計をざっくりと書いてみると、家賃は友人とのシェアハウスで安く済ませているので月二万五千円(後述のシェア別荘を含む)、光熱費や通信費が月一万五千円くらい、あとは月四万?五万円くらいを食費や娯楽費に使って生活している、という感じだ。娯楽費というのは何に使っているかというと、古本を買ったりとか安いゲームを買ったりとか、ときどき漫画喫茶やスーパー銭湯に行ったりとか、たまにバックパックを背負って貧乏旅行をしたりとか、それくらいな感じだ。お金のかかる趣味は持っていないし、そんな感じで十分楽しめている。
しかし、もっとお金が欲しいか、と言われれば欲しい。普段の生活の中で「お金があればもっと楽なのになー」という場面は結構あるし、お金があれば人生の大体の問題は解決する。お金は万能で素晴らしいツールだ。
でも、お金は欲しいけど、〈お金を得るためには働かなければいけない〉という厳然たる宇宙の法則のことを考えると、まあ、なくてもいいかな……という気分になる。働くのは基本的に面倒臭いことだし、面倒臭いことをたくさんするのに比べたら、お金がないけどあまり仕事はしないという今の状態でそこそこ満足かな、というのが正直な感想だ。
多分僕がお金がなくてもそんなに不満がないのは自分が一番やりたいことは実現できているからだと思う。それは「自分のペースで生活に実感を持ちながらゆっくりと暮らす」ということだ。具体的に言うと、毎日好きな時間に起きたり、その日の気分次第で一日の予定を決めて、散歩をしたり本を読んだり猫と遊んだり料理を作って食べたり、眠たくなるまで夜ふかしをして好きな時間に眠ったり、という感じのことだ。
会社に勤めているときはそれが全くできなかった。毎日決まった時間に起きなきゃいけないというだけでかなりつらかったし、満員電車に乗って通勤して、職場で気が合うわけでもない人たちとずっと顔を合わせていると、それだけで生きるエネルギーをすっかり消耗してしまっていた。そうすると家に帰ってからの自由時間もゆっくり本を読んだり料理を作ったりする元気がなくて、牛丼やハンバーガーみたいな雑な食べ物ばかり食べたり、よく考えたらそんなに欲しくないものとかを適当に買ってストレス解消をしたりしていた。
その頃はなんというか、金銭的には今より余裕があったけど、「自分にとって一番大事な生活のペースやリズムを奪われている」という感じがして、あまり毎日を幸せだと感じられなかった。その頃に比べたら今のほうが、お金がなくても気持ちに余裕があって自分のペースを保って生活ができているのでちゃんと生きている感じがするし、全体的な幸福度は高い。
日常の中にやることはたくさんある
多分僕が人よりも体力がないせいだと思うけど、「毎日働きながら生活もきちんとする」というように、仕事と生活とを両立させるのは僕には無理だった。