3月にこのコラムでも取り上げたインターネット広告推進協議会(JIAA)の「ネイティブ広告ガイドライン」の話題ですが、4月末に行われたニコニコ超会議4でのJIAAガイドラインに反対するメディア運営者のパネルディスカッションや、やまもといちろう氏の一連の刺激的なインタビューやコラムをきっかけに、連休を挟んで各所で議論が沸騰しているようです。ついに今週12日には、やまもと氏が実名を挙げて批判していたサイバーエージェントから謝罪が発表されました。
やり玉に挙がっていたサイバーエージェントが謝罪したことで、この話題はいったん収束するように思いますが、そもそもの問題の端緒となったJIAAのガイドラインと世の中にあまたあるウェブメディアとの折り合いがついたわけではありません。
「ノンクレジットのネイティブ広告」、簡単に言えば「どこから見ても記事にしか見えない広告」というものがいったいなぜ問題なのか、またその波紋はいったいどこまで広がるのか、やまもと氏が言うように司法の直接介入まで行ってしまうのか、といったことについて、今回はできるだけシンプルに考察してみたいと思います。
ノンクレジット広告と記事盗用の問題は別
3月のコラムでも説明しましたが、ネイティブ広告とは「一般の記事のように見える広告」のことです。そして、ネイティブ広告には通常の広告をウェブサイトの広告枠ではなく、一般の記事と同じ場所に並べただけの「枠(デザイン)ネイティブ」と、内容まで記事のように見せかけて作った「内容(コンテンツ)ネイティブ」と、2種類があります。
JIAAが3月に発表したガイドラインでは、これらのネイティブ広告をまとめて「記事の対象から金品を受け取って作られたり掲載したりされたコンテンツ」を、内容や掲載場所の如何にかかわらずすべて「広告」であるとし、「広告を掲載する場合には消費者が見てはっきり分かるように『広告』『PR』などの表記をしなければならない」と定めています。
これに対して、サイバーエージェントは「(広告という)クレジット表記を外せます」という広告商品を広告主企業向けに販売していたとして、やまもと氏に批判されたわけです。
この件については、ネット上でさまざまな意見が飛び交っていますが、注意すべきポイントは今回サイバーエージェントが批判されているのは、「広告代理店」としての振る舞いに対してである、という点です。
広告は、その掲載を依頼する「広告主」と、それを掲載する「メディア(媒体)」、そして実際に広告主から依頼を受けてメディアにつなぐ「広告代理店」の、大きく3種類の関係者がいます。