年功序列的な人事制度の廃止──。
これが、僕が社長になって最初に打ち出した方針でした。
人間は弱い。会社に長くいるというだけで報われる仕組みでは、ユーザーのために身を削るように努力することはできない。だから、在籍年数にかかわらず、ユーザーに大きな価値を提供している人から優先的に給料を支払う仕組みに移行したわけです。
ただ、それだけでは足りませんでした。
なぜなら、企業は常に新しい価値をつくり続けなければならないからです。
過去の企業の盛衰を研究すれば、シンプルな法則があることに気づきます。同じことをやり続けている企業が衰えていく、ということです。とりわけ、インターネット業界はプロダクトのコピーが容易な世界だからなおさらです。同じことをやっていれば、すぐにライバルが追随してきて陳腐なものになってしまう。だから常に新しい価値をつくり続ける遺伝子をもたなければ、生き残ることができないのです。
そこで、僕は、NHN Japan株式会社(ハンゲーム・ジャパン株式会社の後継会社で、LINE株式会社の前身)だった2009年に、新しいプロダクトを生み出すクリエイティブな仕事と、成功したプロダクトを磨きあげるオペレーションの仕事を切り分けることにしました。