お化粧はしても、あくまで“ありのままの”自分
前回は、セーラーチームにとっての「悪」の主張を敵側から紐解くことによって、それと相反する主張であるセーラーチームの掲げる正義を、思想・信条ベースで考察した。ある政治的集団の主張を理解するには、彼らの掲げる政策を熟読するよりも、他党のどの政策を批判しているかを調べたほうが早いからだ。
そして今回はいよいよ、セーラーチームのいわば「政策そのもの」に迫ってみたい。
セーラー戦士たちの変身における最重要キーワード、それは「メイクアップ」というコールである。
セーラームーンなら「ムーン・プリズムパワー! メイクアップ!」、セーラーマーキュリーなら「マーキュリースターパワー! メイクアップ!」。放映が進んで変身がパワーアップするごとに「ムーン・プリズムパワー」の部分が「ムーン・クリスタルパワー」や「ムーン・コズミックパワー」等に変化するが、どのセーラー戦士も、最終シリーズまで一貫して「メイクアップ!」と叫ぶのは変わらない。
「メイクアップ(メーキャップ)」とは、言うまでもなく「化粧」のことだ。セーラー戦士たちは、仮面をかぶったり、原型を留めない容姿にトランスフォームしたりするのではなく、年頃の女子のたしなみとしての“お化粧”によって変身する。
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