4月第2週の主なできごと
・キングカズ、世界最年長ゴール(4月5日)
・錦織圭、世界ランク4位浮上。初のナダル超え(4月6日)
・高畑勲氏に仏芸術文化勲章(4月7日)
・萩本欽一氏73歳、駒沢大入学(4月8日)
・将棋電王戦最終局、異例の「21手投了」(4月11日)
ブルーボトルコーヒーは「ライフスタイル(笑)」の一端?
おぐらりゅうじ(以下、おぐら) 2月6日、アメリカのカリフォルニア州オークランド生まれのコーヒーショップ「ブルーボトルコーヒー」の海外進出1号店が、江東区の清澄白河にオープンしました。
速水 できて2週目に見に行ってきたよ。あまりの行列で中には入らなかったけど。3月にオープンした青山の2号店の方がまだ入れるって評判だね。ちなみに、この春には代官山に3号店もできるって。
おぐら もちろん1号店というニュース性は大きいですが、日本初の場所に清澄白河が選ばれたことのほうが語りしろがありますよね。「谷根千」とか東京の東側に注目が集まりはじめたのはもう何年の前の話ですが、情報番組におけるブルーボトルコーヒーの紹介のされ方も、「店舗は江東区に多くある空き倉庫を改装した」とか、「近所には東京都現代美術館があって感度の高い人が訪れる」とか、街そのものを話題にしていました。
速水 なんてことはない倉庫や町工場が並んでる町なんだけど、近くにはいくつかサードウェーブ*1系の意識高いカフェがある。まさに最新号の『Casa BRUTUS』の特集が「居心地のいいカフェ」で、あの辺のガイドマップを作ってるんだけど、明らかに仲間はずれのコミュニティカフェ*2っぽいものまで混入しているので要注意ね。
*1 サードウェーブ:豆の産地を重視し、豆の個性を最大限に引き出す淹れ方を追求する新しいコーヒーカルチャー。
*2 地域社会の中で「たまり場」「居場所」になっているところの総称。
おぐら ブルーボトルコーヒーに並んでいる人たちって、どんな感じなんですか。
速水 えーっと、カップルは多いんだけど、意外と男子2人組とかが多かった。こういうのって、「流行に弱い女子」みたいな話になりがちだけど、むしろ注目は男子だった。なんか男子がみな同じような印象なの。みんなリュック背負ってて。それと、ヒゲとメガネ。これ、『週刊文春』のコラムで辛酸なめ子が指摘していてヒザを打ったんだけど「サードウェーブ系男子」ってネーミングがまさに的を射てる。ちなみに、その定義はキャップにヒゲ、メガネにニューバランスだって。
おぐら あの界隈の人たちって、自分たちがテンプレ化していることを自覚しているんでしょうか。オシャレを自認している印象はありますが、同じような場所に出没して、服に興味があって、そこにいる人たちのファッションを気に留めていれば、「なんか自分と同じような格好したやつばっかりだな」って気付きそうなものですけど。
速水 別に人と違う格好をしたいとも思ってないんじゃない。
おぐら たしかにそうかも。むしろこの時代、場に馴染むことのほうが大事なのかもしれません。
速水 大事なのはニューバランスだよね。ちなみに、俺はスニーカーにおけるナイキ、アディダスとニューバランスの違いがわからない。昨今のニューバランスだけが神格化されてる感じがいまいち理解できてないんだけどさ。
おぐら ニューバランスと一口に言っても、たとえば1万円ぐらいで売っているヴェトナム製のモデルと、2万円以上するアメリカ・イギリス製のモデルがあって、シティボーイたちが履いているのは後者です。興味ない人には同じに見えても、当事者にとってこの違いはかなり大きい。
速水 わかんねー(笑)。でもおしゃれ系の人の間でのニューバランス一択感はすごく気にかかるね。デザイン的にはおたく系が選ぶものと紙一重な危うさとかも含めて。でも、これも思想にお金払ってます感なわけでしょ?
おぐら もちろん性能も全然違いますけどね。ただ、見た目ではなく思想にお金をかけるのは、やっぱり上流志向の人たちの考え方で。それが近年は服からライフスタイルにまで及ぶようになり、その一端としてサードウェーブコーヒーがある。
速水 出た、「ライフスタイル(笑)」。最近のショッピングモールに新規出店するような店も、すぐ「ライフスタイルショップ」の方向に行きがち。
おぐら 今話題の「上質な暮らし」ってやつじゃないですか。
速水 お、いよいよ本題だ。
「上質な暮らし」と「サードウェーブ系男子」
おぐら 「roomie」というサイトが「2015年の『上質な暮らし』ってこういうことかも」というタイトルの記事を配信し、一部のネット民から総ツッコミを浴びました。