ダマされない読者になるには
漆原直行(以下、漆原) よく我々のツッコミのターゲットになる著者としては、冒頭にも挙げた勝間さんが代表的な存在だけど、彼女の本ってなんだかんだ言いながら結局買っちゃうところがありますね。
山本一郎(以下、山本) 我々ほぼ全作読んでいるウォッチャーとしては、もう出る前から内容が想像できて、しかもまず予想が外れない。なのについ買ってしまうという。あれはなんなんだろうなあ……。
漆原 僕はもう完全に確信犯です。自らウンコつかみに行ってますもん。「わー、ウンコだ」って言いながら手を伸ばしてしまう。
中川淳一郎(以下、中川) それは漆原さんが書籍研究者だからでしょう。
漆原 そういうとちょっと高尚っぽく聞こえるけど、まあ香ばしいビジネス書の著者ウォッチャーだから。
中川 仕事で必要だからつかみに行く。
漆原 いや、もう趣味でウンコつかみに行こうとしてる気すらします。
中川 それは俺がネットの本ばっかり買うというのとまったく同じ!
山本 わざとダマされる前提で買ってしまう。
中川 そうすると娯楽になる(笑)。読解力が上がるかとかそういうガチな話は別として、娯楽になるし、話のネタになる。プロレスで言うと、ロメロスペシャルみたいなもの。パラメーター別に見ると、見栄え10、技の難度10、効き目1という。
漆原 わからない人を置いてきぼりにするトークだけど、要は強くはならない、と。
中川 ウケる技術が身につくだけですね。
山本 いやいや、大事なことですよ。って何の話だ(笑)。
漆原 そういうプロレス的な読み方をわかってしている人はいいんですが、特に自己啓発系の読者は、大半が「ガチでダマされてる」わけじゃないですか。
山本 生簀ですよ。
漆原 我々はすべての人がダマされない読者になってほしいと願っている。でも自己啓発系のビジネス書やってるような版元からしたら、ダマされない読者が増えてしまったら超困りますよね。