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ほとんどの広告が陥りがちな「罠」
「春の○○キャンペーン! 今なら入会金無料!」
こんな告知・広告を電車の中で多く見かけます。「入会金無料だから入会してね!」ということですね。これを伝えるために、おそらく何千万円もの費用をかけています。
ではみなさんに伺います。「入会金無料」だからといって、入会しますか?
入会金がネックでこれまで入会しなかった人には、いいチャンスでしょう。でも、これまで興味を持っていなかった人が、「入会金無料!」につられて入会するでしょうか?
「・・・・・・」
これから目にする広告を注意深く見て下さい。ほとんどの広告が「罠」にハマっています。
どんな罠か? それは、大きく分けて2つあります。
ひとつめは、「差別化しか考えておらず、消費者にどんな価値を提供しているかわからない」という罠です。
商品を訴求するうえで、自社の違いを理解してもらうことは重要です。他社とまったく同じ商品であれば、選んでもらえないからです。しかしそれは、消費者に価値を提供していることが前提です。それがなければ、いくら「他社と違います!」といってもまったく意味がありません。
そしてふたつめは、「そもそも“どうでもいいこと”をアピールしている」という罠です。
おそらく提供者(プロ)からみたら意味があるのでしょう。しかし、素人である消費者にそれが伝わらなければ、これもまったく意味がありません。
提供者は、その道の“プロ”です。他社との違いも十分把握し、自分の商品の良さも理解しています。そして、他社の商品よりも自分の商品の方が良い! と自信も持っています。しかし、それゆえに、細かい違いにこだわり、その商品を使い込んだ人にしかわからないポイントをアピールし、消費者が理解できない 専門用語で売り込みをかけます。
これでは売れないのは当然です。自分の世界に入り込んでしまっていて、もはや自分を客観視できていないのです。
商品を売るためには、この「自分の世界」から抜けなければいけません。そして、相手の興味ポイントを知り、その興味を喚起するような流れで商品説明をしなければいけません。
営業力を身につけてもこの説明力は伸びていきません。対人コミュニケーション力でもありません。キャッチコピー力でもありません。自分の商品の「ウリ」を言葉にしてお客さんにわかりやすく伝える力です。
発信力とは「注目される力」のこと
みなさんが自分の商品を売り込む際、相手に興味を持って聞いてもらえていますか? サイトの商品紹介ページを読んでもらえていますか?
この問いに自信を持って「Yes」と答えられる方はそう多くないでしょう。当然ながら、プロは自分の商品を熟知しています。また自分の業界も熟知し ており、「顧客にとって重要なこと」を理解しています。それを伝えようとします。しかし、そのせいでみなさんの商品説明は興味を持たれなくなっているので す。
なぜか? その「顧客にとって重要なこと」があなた目線だからです。
仮にその「顧客にとって重要なこと」が真実だったとしても、顧客自身が「重要」と思っていなければ話は聞いてもらえません。大切なのは、「あなたが思う重要なこと」ではなく、「顧客自身が感じている重要なこと」を伝えることです。
たとえあなたが正しくても、顧客はそう感じていません。だとしたら、顧客はあなたの話を聞いてくれません。「これが本質なのに、なぜ聞く耳を持たないのか!?」と叫んでも意味がありません。
まずは、顧客が「重要!」と思っていることから入り、信頼関係ができたら、「でも実際は、これが重要」と本質を語ればいいのです。
あなたの商品説明に置き換えて考えてみてください。自分目線になっていませんか?
顧客が「重要!」と思うテーマに焦点が当たっていますか?
発信力とは、告知力のことではありません。いかに告知する回数を増やすか、いかに声を大きくして発信するか、ではありません。
たとえば、発信力をつけようと、ツイッターやフェイスブックの「フォロワー」を増やすことに躍起になっている人がいました(最近は減りましたが)。 丁寧にフォロー返しをしたり、フォローされやすいような発言を繰り返したり、会う人会う人にSNS上のつながりを求めたり・・・。メルマガ読者数を増やそ うとがんばっている人もいます。
たしかにそうお願いをしていけば、「リーチできる相手(自分が告知できる相手)」は増えるでしょう。しかしそれで自分の発信力が上がったといえるの でしょうか? そんなことはありません。一応つながっているだけで、相手はあなたのメッセージを真剣に受け取っていないからです。もしかしたら、読んでも いないかもしれません。