こんな季節の真夜中に
かるくキスして「また明日」
一人暮らしの彼女の部屋を
クツをとんとんさせながら
出ていくのって 悪くないよね
音死に絶えた 静かな森を
抜けてくように 環七越えて
ビルのすきまに 月の光
名前も知らない なんかの花
ふわっと香って 息を吸う
並木道をさらさら鳴らし
やさしくふいてる春の風
もしも彼女が この夜を
この先 いくつかくれるなら
もう他には 何もいらない
いつかふたりは一緒に暮らす
ただそれまでは この夜の
ちいさな散歩が 好きなんだ
僕と彼女をつないでる
静かな道は 午前2時
「ひとり暮らしの彼女の部屋を」
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ(1749-1832)
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