「持ち時間」と「脳のクロックサイクル」
知的生産力を高めるためには集中というファクターを重視するべきですが、それと同時に一日の持ち時間を増やすことを考えるべきです。
これまで書いてきたように、集中に入ることと集中を継続することは日常の習慣の中で訓練できます。
しかし、持ち時間を増やすためには、習慣そのものを変える必要があります。
また、集中力を上げたいとは考えても、持ち時間を増やそうとはあまり考えないものなので、意外な死角となって放置されている場合が多いのです。
だからこそ、そこを忘れず、しっかりと見直していく意味は大きいわけです。
持ち時間を増やすことは、脳の働きとも大きく関わります。
物理的な持ち時間を増やす(作業に充てられる時間を長くする)こと自体が大きな意味を持ちますが、脳のパフォーマンスを上げられたなら〝体感的な持ち時間〟も長くできます。そこが重要なポイントです。
「脳のクロックサイクル」という概念があります。
クロックサイクルとはもともと、パソコンのCPUの演算速度を表す言葉ですが、それを応用した概念として〝脳の情報処理速度〟がこうした言葉で表現されます。
脳機能学者の苫米地英人氏は「脳のクロックサイクルを速めることが、能力向上に有用である」と説いています。
考え方や方法論はいろいろありますが、重要なのはいかに一日の持ち時間を増やすかです。
これから紹介するメソッドによって、日常における行動のスピードを高めていけば、物理的な持ち時間を増やせるだけでなく、脳のクロックサイクルも速められるので、体感的な持ち時間も伸ばしていけます。
知的生産力の三本柱は「持ち時間」「集中に入る力」「集中を継続する力」だということは最初に書きました。
ここまでは「集中に入る力」「集中を継続する力」をフォーカスして解説してきましたが、この章では、全体の中でもっとも重要な要素といえる、持ち時間を増やす方法を紹介します。
行動の速度と量
生産力を高めるためには、日常生活のすべてにおいて「速度をあげること」を習慣化する姿勢が重要になります。
そもそも、誰もが一日二四時間という同じ時間を持っていながら、成果に差がついていくのはなぜでしょうか?
そこを分ける大きな要因のひとつは、日常的なあらゆる行動の速い遅いにあります。