見過ごしてはならない「休憩力」
先を考えすぎず、立ち止まらないことが集中の持続につながります。
その一方、気持ちが切れてしまうことをなくし、生産力を向上させていくために欠かせないのが「休憩」の効果的な利用です。
休憩については深く考えられることはあまりなく、タイミングなども含めて好きなようにとればいいというくらいに見られがちです。しかし、そうした軽視が集中の継続力を奪ってしまうのです。
「休憩」とは技術であり、うまい休憩の取り方ができるようになるほど、高い生産力を得ることができます。
たとえば、一日中休まず、朝から晩まで一〇時間、仕事をしたとします。この場合、「仕事をやった」という満足感は得られますが、ずっと集中は続かず、どこかでダラダラしてしまうなど、結果として五~六時間分ぐらいの仕事しかできていなかった、ということがよくあります。
反面、うまく休憩を挟んでいけば、仕事をしているときの集中度が増します。そして、結果的に一〇時間分以上の仕事を終わらせられた、ということにつながります。
後者のほうが疲れは少なく生産力が高まるのですから、いいことずくめです。
うまく休憩を入れると、仕事をしている時間は短くても、仕事の〝濃度〟をぐんと高められるので、結果的には多くの仕事をこなすことができるのです。
仕事と休憩はコインの表と裏のような関係であり、「休憩力」を鍛えることが、高い仕事効率を得るための秘訣にもなっています。
かのナポレオン・ボナパルトは、休憩について次のような名言を残しています。
「人生という試合で最も重要なのは、休憩時間の得点である」
スポーツの試合であれば、休憩時間に得点は入りません。しかし、人生という試合においては試合中(仕事中や勉強中)の得点だけを見ていればいいわけではありません。いかに休憩の時間を活かすことができたかによって、最終的な得点が大きく変わってくるのです。
ナポレオンは一日に三時間しか睡眠をとらなかったなどといわれ、「休む間もなく行動していた人」というイメージが強くなっています。それでも実際は、休憩をうまく活用して、効率を最大化させるようにしていたということが本人の言葉から察せられます。
士官学校時代には、通常の在籍期間が四年のところを、開校以来の最短記録となるわずか11か月で必要な課程をすべて修了して一六歳で卒業したというエピソードがあります。それにしても飛び抜けた要領の良さがあってこそ、なせた業なのでしょう。その11か月のあいだにもうまく休憩を活用していたはずです。
集中して作業ができているときこそ休憩を取るべき
それでは、高い休憩力はどのようにすれば鍛えられるのでしょうか。
cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。