見よう見まねの事業計画書
一人で起業しようとは思っていなかった。
オラクルの仕事を一緒にした田中さん、ライターの岡田君と3人で、「一緒に会社をやろうか」という話になっていた。オラクルの仕事が首尾よく終えられたこともあって、きっとそうなるのだろうと考えていた。
しかし二人はなかなか具体的な行動に出ない。僕はだんだんイライラしはじめる。
会社を起こすことは決まった。インターネットがビジネスになることは分かっているし、仕事ももらえそうだ。そうしたら1日も早く会社を作った方がいいに決まっている。遅れれば遅れるほどビジネスチャンスを逃すことになると肌で感じていた。
僕はとりあえず一人で動くことにした。
やる気が漲っている僕の前に、まず最初に立ちはだかった問題。それは、どうやって会社を作るのか分からないということ。
今だったらネットで検索すれば、丁寧な説明がいくらでも転がっているのだが、まだそんな時代ではない。身の回りに会社を作った経験がある人もいなかった。
しかし分からないことが、やらない理由にはならない。フィクスで新しい仕事を受ける時も同じだった。一度も触ったことのないソフト、知らないプログラム言語を使わなければいけないからといって、その仕事をできないと言うわけにはいかない。「できますよ!」と明るく言い放って、後から必死で猛勉強すればなんとかなるものなのだ。
僕はまず書店に行って、簡単そうな「会社の作り方」という本を何冊か買って、読み始めた。
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