貧乏人こそ、貴重な資源
岡田 山形さんの解説を聞いて、ようやく僕にも経済がどうやって動いているのかがわかってきました。でも、今のやり方は、やっぱり無理があるように思うんです。金利を付けてお金を貸し借りする仕組みというのは、これからも経済が成長していくことを前提に成立しているわけですよね? もうすでにそういう前提は崩れているのに、何とか今まで通りに維持しようとして、いろいろな仕組みに無理が来ているのではないでしょうか。
山形 日本だと、経済成長の余地が見えにくくなっているのはおっしゃる通りです。僕としてはまだ日本にも成長の余地はあると思っていますが、だいたいみんな買えるものは買ってしまって、ものすごく欲しいものがあるわけでもない。日本でそういう価値観の転換が起こっているかもしれません。でも、日本ですら、まだまだできることはたくさんあるでしょう。それに、発展途上国ではだいぶ状況が違います。
僕は1年の半分以上、発展途上国にいるのですが、そういった国々ではかつての日本のような経済成長モデルがきちんと成り立っています。例えば、インドでは建設ラッシュが続いていて、工事現場の仕事もたくさんあります。「こんな貧しい農村で売れない作物を作っているより、俺はデリーに出稼ぎに行って稼ぐぞ!」「稼いだお金でDVDプレイヤー買ったぞ!」と、そういう世界はまだまだちゃんと残っているんですよ。