お店をやるのに向いている人
いらっしゃいませ。
bar bossaへようこそ。
昭和時代に個人商店を始めた人に「どういうきっかけでこのお店を始めたんですか?」なんて質問をすることがあります。するとみなさんほとんどが「なりゆき」とか「まあ、この地域にそのお店がなかったら」とか、かなり適当なんですよね。
例えば金物屋さんに「お店を始めたきっかけは?」って質問すると「生活雑貨全般がすごく好きなんですよ。北欧のヴィンテージものとかにこだわって集めていくうちに趣味が高じて商売になってしまったんです」なんて答えは返ってきません。「叔父が金物問屋やってたから、じゃあ、あの駅前に出そうかって思って」って感じの答えが返ってきます。
喫茶店をやられている方も「昔はコーヒーってすごく儲かったからね。そんなに技術もいらないし、見よう見まねで始めたんだよ」って意外な答えが返ってきます。焼き鳥屋さんも「精肉関係の知り合いがいたから。焼き鳥屋って簡単だし儲かるから」なんて言われます。
昔は別におもいっきりこだわってお店を出すって感じじゃなく、「お勤めは向いてないから店でもやるか」って感じで始めているんですよね。今はお店を始めるっていうと、「いつか自分自身のお店を持つのが夢です」みたいな印象がありますが、別に「普通の就職先」みたいな感じで始めても良いんですよね。
というのも、こんな相談もよく受けるからです。
「どうやら自分は接客が向いているみたいで、自然とみんなが集まってくる」
「料理も達人とまではいかないけど、ちょこちょこっと美味しい物を作るのはすごく上手い」
「結婚するつもりはないから、色んな知らない人と毎日楽しく喋ったり飲んだりして死ぬまですごしたい」
「どうやらサラリーマンは向いていない。毎日電車に揺られてタイムカードを押して、きりきりする生活がダメみたい」
「飲食にすごいこだわりがある。この料理を食べさせたい。って感じじゃないんだけど、でもこんな自分でもお店をやっても良いのだろうか?」
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