休憩中によくおしゃべりするだけで、受注率がアップする事実
佐渡島庸平(以下、佐渡島) 『データの見えざる手』では、「幸せ」を制御できるのかどうかという章で、コールセンタの生産性(受注率)が休憩所の会話の「活発度」と相関しているという、驚くべき結果を紹介していますよね。
矢野和男(以下、矢野) 電話セールスの売上というのは、日毎にすごくバラつきがあるんですよね。今までは、スキルの高い人が出勤してたとか、この曜日はちょっと受注率が高いとか、それくらいしか考えられていなかったと思うんです。でもスタッフの行動を分析してみると、それらの要因よりはるかに強く影響していたのが、休憩所の会話の活発度だということがわかりました。
佐渡島 僕はいま会社をやっているので、組織のマネジメントの観点から、こういう調査はすごく気になります。これも、ウエアラブルセンサのデータから明らかになったんですよね?
矢野 はい。首から下げる名札型のウエアラブルセンサをスタッフ全員につけてもらって計測したところ、休憩時間に会話するときの身体活動が活発な日は受注率が高く、活発でない日は受注率が低いという結果が出たんです。
佐渡島 でもそれだけだと、たくさん受注ができてテンションが上がったから、休憩時の会話が盛り上がったという可能性もありますよね。
矢野 そうなんです。そこで、同世代の4人のチームで休憩をとってもらい、意図的に会話を活性化する施策をとったところ、休憩中の活発度が10%以上向上し、受注率が13%向上しました。
佐渡島 スキルレベルが高い人が出社しているかどうかよりも、みんなが楽しく会話しているほうが影響大きいっていうのが、すごいと思いました。
矢野 スキルレベルが高い人が出社してるかどうかというのは、20%くらいしか関係ないんですよね。休憩所の活発度による影響は35%もありました。