体験しなきゃわからない
何度負けても、負けを認めなければ勝つ
イラスト:長尾謙一郎
大谷ノブ彦の6曲目→ゴールデンボンバー「らふぃおら」
「らふぃおら」ゴールデンボンバー
2012/04/26UP 1,121,162play(2014/09)
大谷ノブ彦(以下、大谷) 今回、僕がオススメしたい曲は、ゴールデンボンバーの「らふぃおら」。この曲は新曲じゃないんですけど、僕はこれが一番好きな曲で。で、まずはロック・イン・ジャパン・フェスの話をしたいんですけれど。
柴那典(以下、柴) 彼らは初日のトップバッターで出演しましたね。
大谷 そう。で、今年のロック・イン・ジャパン・フェスは、DJブースがなくなったんです。
柴 なくなりましたね。「BUZZ STAGE」という名前になった。
大谷 これが何を意味するかっていうと「ロックDJが終わった」ってことなんです。
柴 ロックDJが終わった?
大谷 終わりました。もうこれからは仲間内でやる、知ってる曲をかけるだけのパーティだけが生き残ると思います。しかも動員はどんどん減ると思います。というのも、9年前に僕がDJを初めてやった時、曲のシェアに楽しさや芸を足せば自分にしかできないDJができるとわかっちゃったんです。
柴 ただ曲をかけるだけじゃなくてパフォーマンスをやる、と。
大谷 たとえば大地が僕の前で踊るのだって、当時は誰もやってなかったんですよ。エアギターもやるし、ダンスもやる。振り付けしてみんなで踊るのもやる。そういう手法でDJをやったんです。で、僕は人の曲をかけるDJでそういうことをやったわけですけど、語弊を恐れずに言えば、これを自分の曲でやってるバンドがゴールデンボンバーってことなんです。
柴 なるほど! 彼らもエアバンドですからね。
大谷 言ってしまえば、去年のロック・イン・ジャパン・フェスの大トリだったPerfumeだってそうですよね。口パクだってみんなが知ってるわけだから。
柴 歌や演奏がなくてもステージが成立するわけですよね。音楽があって、それに同期したパフォーマンスがそこに存在していればいい。
大谷 それって、僕らが9年前に発明したDJのやり方とも同じなんです。曲をかけて、まるで自分の曲みたいに歌って、パフォーマンスをする。それでみんなが楽しめるってことがわかった。
で、僕とかやついいちろうがそういうことをやったことで、ロックDJをやってきた人たちの価値観を壊しちゃったわけですよね。で、今年はゴールデンボンバーがトップバッターに出て、SEKAI NO OWARIが大トリになっている。
柴 なるほど。ロックバンドでなくてもよくなっているわけですね。ゴールデンボンバーが出ることについて、大谷さんはどう思いました?
大谷 全然ネガティブじゃないですね。というのは、ゴールデンボンバーがやっていることって、「女々しくて」というポップアンセムがあって、みんなで楽しく踊るっていうだけのイメージじゃないですか。でもそうじゃないんです。
柴 そうじゃない?
大谷 それがこの「らふぃおら」なんです。これは震災後にすぐに発表した曲で、「Life is all right!」って意味なんですね。「大丈夫だよ」っていうことを歌ってるんですけど。レディー・ガガとかサム・クックと同じで、どんなに変わり者って言われて、行き場が無くても、大丈夫だって伝えてくれるような曲。
柴 なるほど。ゴールデンボンバーなりのメッセージソングなんですね。
大谷 この曲はまさにそうですね。君が部屋でひとり泣いていても、必ずおれたちはそれを見てるよって。だから一瞬でも楽しい思いをしたければライブにおいで、と。ちゃんと「大丈夫だ」って言ってくれるんです。
柴 いやあ、エラい!
大谷 この曲は単純にめちゃくちゃいい曲だし、やってる時の4人の振りも、なんでかわからないけど、ものすごくグッとくるんですよね。だから、好き嫌いはいいけど、「生演奏じゃないからダメだ」とか、見もせずに頭ごなしに批判してるヤツが一番つまんないと思いますね。
柴 そういう人は得てして現場にいないんですよ。
大谷 やっぱり体感しなきゃわからないですよ。実際に観たら、胸を打ちますよ。楽しませるっていうことに対して本気なんだから。
大谷ノブ彦の7曲目→PAN「今日だけ祭り」
「今日だけ祭り」PAN
2014/05/16UP 12,265play(2014/09)
大谷 この流れでもう一つ紹介したいんです。それがPANというバンド。
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