人生とは、長い旅のようだという人がいますが、旅というよりは、ひとつの物語だという気がします。僕が作家だから、そんなふうに感じるのかもしれません。
どの物語にも、必ず終わりがあります。それが悲劇で終わるのか、それとも幸せな結末を迎えるのかは、作者以外誰にもわかりません。
物語のラストをつくるために、作者はさまざまな伏線を用意します。いわゆる山あり谷ありの状況を設定するわけです。ドラマチックなストーリーにしなければ、読者は感動してくれないからです。そして、起こったできごとは、主人公にとって、全て必要だったと結論づけます。
いわば、そう思ってもらえるように、読者は作者に誘導されているわけです。
忘れてはいけないのが、実際の人生に、作者はいないということです。
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