なにはなくとも、「動機」が大切
—— これは糸井さんとの対談でもおうかがいしていたことなのですが、組織としてクリエイティブの仕事をすることについて、篠田さんはどうお考えなのでしょうか。
篠田真貴子(以下、篠田) 「動機」を出発点にするのが非常に大事だと思っています。
たとえば、何かをつくりたいという提案があったとします。そうしたら、その企画がいいかわるいかの前に、「なぜこれをやりたいのか」ということを、糸井がすごく問うんです。さらに、それが多くの人にとってどういう意味があるのか、ということも。糸井のクリエイティブの姿勢自体が、普通の人が持っている「動機」に、実はものすごい宝があるという考え方だからです。
—— この図は、世間一般で使われている図なんですか?
篠田 いえ、糸井と私でつくったオリジナルです。発端は、先ほどおっしゃった「組織でクリエイティブの仕事をする」ということについて、ほぼ日でうまくいっているコンテンツとはなんなのかを、私が「モデル化したい」と思ったことからです。入社してはじめの1年間は、これを見出すために時間を使いました。
—— 1.動機、2.実行、3.集合。そしてそれらのまわりを「社会」が取り巻いている。この動機の部分って、糸井さんの動機というわけではないんですよね?
篠田 糸井発信のコンテンツもありますけど、糸井の動機に限ったものではありません。例えば、三國万里子さんという編み物作家さんのコンテンツは、2人の女性の乗組員(ほぼ日スタッフ)が三國さんの本を読んで夢中になったことから始まっています。ワークショップに行ってますます惚れ込んで、なんとかコンテンツにできないか先輩社員に相談したんです。
—— この人が好き、みんなに広めたい、という「動機」ですね。
篠田 そして、先輩たちが「ただ編み物を紹介してもカタログみたいになってしまうね」と一緒に知恵を出し合って、「ライブで編み物をしているところを中継しよう」というアイデアが出ました。それを元にコンテンツ化して、実際中継をしたんです。
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