「ダブルユー」=「ぶりんこうんこ」!?
相沢直(以下、相沢) 今考えるとテレビ東京でやってた「ハロモニ。」(※1)って本当に面白かったですよね。
※1 正式名称は「ハロー!モーニング。」。テレビ東京系で2000年4月9日から2007年4月1日まで放送されたハロー!プロジェクト及びモーニング娘。の冠番組。「私をデートに連れてって♥」「ハロモニ。劇場」といったいくつかのコーナーから構成されていた。
劔樹人(以下、劔) 週末録画した「ハロモニ。」をヲタ仲間のイトウさんの家に観に行くっていうのが、毎週の恒例行事だったんですよ。
相沢 コントとかもすごい面白かったですしね。なんかすごくメンバーの個性をわかってるキャラクター付けというか。普通アイドルだと恥ずかしがりそうだけど、そこを全力でやってたからよかったな。
劔 バカ兄弟とか、チャーミー石川とか、エリザベスキャメイとか。
相沢 ピーマコ小川とか。
劔 おじゃマルシェ紺野っていうのもいましたね(笑)。あとどんなコーナーがありましたかね。
相沢 笑わん姫。とか、河童の花道とか。
劔 あぁ、よく覚えてますね。
相沢 ぶりんこうんこ(※2)……とか。辻ちゃんと加護ちゃんが2人でユニット名を決めたっていうね。
※2 辻希美と加護亜依によるユニットの名前。ふたりがつんく♂に内緒で結成した、作詞、作曲、編曲、振り付けのすべてを自分たちでこなすスーパーパフォーマンスユニットとされるが、その歌の内容は「ぶりんこうんこが 輝いて見える シャカ シャカ シャカ シャカ」などというものだった。
劔 当時、そういう言葉がいっぱい生まれましたよね。
相沢・劔 いしよし、しばりか……。
相沢 マロンメロンとか!
劔 (笑)。
相沢 当時、「モーニング娘。ドンジャラ」が出たじゃないですか。それを友達のヲタの坂井君が買ったんですけど、現状のメンバーだと物足りないとか言い出して。牌の柄に他のハロメンの写真を全部貼って、役は全部それぞれが自己申告するっていうルールを作ってやってたんですよ。だから、いくらでもパターンができちゃって、北海道出身とか(笑)(※3)、マロンメロンはすぐ揃うけど安いとか。
※3 ハロプロメンバーには北海道出身者が多い。
劔 ハハハ、いいですね。そういう狂った人っていましたよね。僕のまわりにもこの本に描けなかった狂った小ネタみたいなのが沢山ありますよ。
相沢 あと、また坂井君の話なんですけど(笑)、愛知県の美浜っていうところで、ごっちんとメロン記念日のコンサートがあって、石井くんと僕でそれに行こうって話になったんですよ。坂井君の家で一泊して、早朝に坂井君の車で向かうってことにしてたんですけど、夜中の1時くらいに興奮して眠れないって坂井君が言い出して。ハロー!関係のイントロクイズやりながら、とりあえず車を走らせましたよ、「なんか映画みたいだな」とか言いながら(笑)。野外だったんで、ヲタ同士で川の水をかけ合ったりもしてね(笑)。
劔 その青春の感じいいですねぇ。
相沢 けど、コンサートはツーマンだったから、ファン同士のせめぎあいみたいなのがあったりしたんですよね。上下とかないぜとか思ってましたけど。
劔 それこそ、宇多丸さんとコンバットRECさんとかは本当に喧嘩とかしてましたよね。
相沢 矢口さんが脱退する直後に石川梨華ちゃんの卒業コンサートがあったとき、その場で殴り合いの喧嘩になったっていうのを聞いたことがありますけど。
劔 それは本の中の「涙の武道館!」の回ですね。そこで描いたコツリさんはタカ派というか、矢口真里さんの不倫問題で事務所を糾弾しようして、僕たちがそれを抑えようとしたことがありましたね。その宇多丸さんとコンバットRECさんのときは杉作J太郎さんが板挟みになってって聞いたこともあります。
相沢 そうだと思いますね。宇多丸さんがタカ派だったのかな。
ネットがなかったら生まれなかったヲタ文化
劔 僕らがハロー!にハマっていた10年前とかって、SNSって黎明期じゃないですか。その頃のmixiって僕の印象だとハロヲタばっかりだったんですよね。
相沢 確かにそうですね。その前にテキストサイトがありましたけど、ハロヲタの人がわりとインターネットに造詣の深い人が多かったっていうのはあったかもしれないですね。
劔 そうかそうか。その頃は大学時代の友達とかは全然やってなかったんだけど、ハロヲタの人たちがやってるっていう印象があったから僕もやり始めたら、やっぱりハロプロ系のコミュニティがいっぱいあって。