いまの中川淳一郎は、大学時代の常見陽平にそっくりなんです
中川淳一郎(以下、中川) 陽平とオレが友達になったのって、1994年だよな。オレが21歳で陽平が20歳の頃かな?
常見陽平(以下、常見) そうそう。かれこれ20年以上のお付き合いになるわけですよ。
中川 いまだにオレは一橋大学で陽平と出会ってなかったら、今みたいな人生じゃなかっただろうな…ってよく思ってる。多分、銀行員とか営業マンになって、30歳ぐらいで結婚して、嫁と子どもを養いながら、住宅ローンを返す生活を送ってたと思う。
常見 え、そうなの? あ、でも、前にイベントでも「お前と会ってなかったら、住友電工で経理だって」言ってたね。
中川 そうだよ! お前に出会って、プロ研(ふたりが所属していたサークル「一橋大学世界プロレスリング同盟」のこと)に入らなかったら、クソマジメな生活送っていたと思うぞ。たとえばさ、オレはネット上で「バカ!」「うんこ食ってろ!」とか暴言吐くイメージが強いじゃない? でも、それって完全に学生時代の陽平のキャラにそっくりだもんな。
常見 そうだよね。多分、学生時代の僕らを知っている人だったらわかるだろうけど、いまの中川くんは学生時代にプロレスやってたころの僕にすごく似てる(笑)。当時の僕は他人にケンカを売りまくるし、暴言は吐きまくるしで、相当にアナーキストだったから。
中川 そうそう。いまは陽平のほうが真面目なキャラになっちゃってるけど、本当はお前のほうがぶっ飛んでるからね。陽平がネット上で暴言を言うと「常見が中川化している」とか言われることがあるんだけど、それを見るたびに「違う! もともと、陽平はこういうやつなんだから!」って思うよ。
常見 でも、実は過去を振り返ると僕の環境が最高にアナーキーだった時代って、実は高校時代なんだよね。
中川 え、そうなの。
常見 僕が行っていた札幌南高校って、この前亡くなった作家の渡辺淳一を輩出した超絶アナーキー高校なんだよ。当時は、同期は修学旅行でセックスしてたし、休み時間には隠れてタバコを吸うしと、本当にひどい話ばっかり。学園祭や球技大会が終わったら、すすきので打ち上げ。変な人がいっぱいいたし、僕なんて普通の学生に分類されるレベル。
だから、一橋大学に行ったときは、「あぁ、なんか真面目な人がいっぱいいる学校だな」ってちょっと拍子抜けしたんだよ。真面目な人ばっかりいる校風だったから、僕くらいでも目立てたっていう気もするなぁ。
中川 たしかに。一橋の同世代をみても、あまりおかしい人っていなかったかもなあ。唯一いたのが、全日空61便ハイジャック事件の犯人か。
常見 いたね! あれが1999年か。
中川 あの人はたしか3歳か4歳上の先輩だったかな。
彼は一橋の学生だったんだけど、将来の夢がパイロットで、航空会社に入社したかったけど入れなくて、鉄道系の会社に就職したの。それで「レインボーブリッジの下をくぐりたかった」とか言う理由で飛行機をハイジャックして、機長を殺しちゃったんだよね。
常見 いやぁ、あれはびっくりした。ハイジャックする人が、まさか一橋大学から輩出されるとは……。でも、そんなごく少数の人を除けば、本当に穏やかな学校だったんだよね。
「君と友達にならないと、大学に来た意味がないと思った」
中川 まぁそんな穏やかな大学で、陽平はすごく目立ってたよね。だから、オレは1994年の10月ぐらいに声をかけたんだよ。
常見 そうそう。僕は大学2年生ぐらいのときから「プロ研スポーツ」っていうフリーペーパーをやっていて、1994年の秋に、そのビラかなにかを配っていたら、突然路上で中川くんに「君と友達にならなかったら、この大学に来た意味がないと思った。だから友達になろう」って声をかけられた。あれは、いまだに忘れられないな(笑)。
中川 オレは大学2年生ぐらいまで、本当に毎日がつまらなかったんだよ。でも、新歓の時期とかも、ほかのサークルが新入生に「学生生活を楽しもうよ!」とかって声をかけているなかで、陽平は「お前ら、新入生だからっていい気になるなよ!」とかいいながら、プロ研のビラを配ってたんだよ。その姿を見て、「こいつ、おもしろいやつだなー」ってずっと思ってた。
常見 いろいろやってたからね(笑)。
中川 ちなみに、陽平がオレに最初に出会ったときって、どんな印象だったの?
常見 声をかけられる前から中川くんの存在は知ってたけど、見た目が変わってたんだよなぁ。いつも半袖半ズボンだったし。一橋大学って地味な大学ではあるんだけれど、結構オシャレな人も多かったじゃない。そんななかで、中川くんの服装は結構浮いてたね。あと、当時はすごい筋トレをやってたらしくて、意外とマッチョだったのが印象的だった(笑)。
で、最初に中川くんに気付いたのは、倫理学の授業だったんだよね。僕は結構この授業が好きだったんだけど、中川くんもこの授業を一生懸命受けていて、講義のときはいつも一番前の席に座っていた。そこで、なんとなく顔とかは覚えてたんだよね。 次第に共通の知人経由で、「こいつはどうやら山登りサークルらしい」くらいの情報は持ってたかな。