いま一番会いたいのは「アガった人」たち
深澤真紀(以下、深澤) そんなに「女」の中でジャンル分けしないといけないのかな、と思うんですよね。だから最近私は、「アガった人」と話がしたいんですよね。
二村ヒトシ(以下、二村) 「アガった人」っていうのは、性的に評価されることから降りている女性っていう意味ですか?
深澤 それもあるし、生理も終わり生殖から自由になっている女性とか。
「女を降りる」とか「女を引退する」っていう言葉はピンとこないんですけど、「アガる」というのはいいと思うんですよね。上に上がるということで、降りるわけではないし。
二村 「現役の女」といった言葉すらありますけど、たしかによくわからないですね。
深澤 多くの女性は、45歳ぐらいまで自分が子どもを産むのか産まないのかっていう決断を迫られ続けているんですけど、それがなくなる日が来る。その後、彼女たちがどうやって生きているのかが知りたいんですよ。
50代になっても「年下の若い男の子が私のことが好きみたいで」「この前、街でナンパされた」みたいな話をしている人はいるんです。
でも、そうじゃなくて「生殖から自由になって、どうやって生きていくのか」っていう“アガりトーク”をしてみたいんですよね。
二村 うーん、そういう人はあまりメディアには出てこないですよね。
深澤 そういう話をしてくれる女性に出会うと、おもしろい情報がいろいろあって。たとえば「アガるとカフェインが苦手になることがある」とか。そういう話を聞くと「じゃあ今のうちにコーヒーたくさん飲んでおかなきゃ!」とか準備できるわけですよね。
たしかに「現役の女」を楽しむのもいいんですけど、そればっかりじゃねぇ……。
二村 みんなセックスだけをしたい訳じゃないんだろうけど、自分のことを性的な目で見られようとしすぎますよね。要はモテたがるってことなんですけど。少なくとも性的な目で自分のことを見るのは自分がセックスしたい相手だけで充分だろうに、女も男も全方位に「自分はまだ生殖可能ですよ」って発信してて「色気を匂わせることが粋だ」って風潮がありますよね。