隕石衝突も大地震も超新星の爆発も、すべて起こりうる
—— ここまでいろいろお話をうかがってきて今さらなのですが、川上さんって、どうしてそんなふうに物事を突き詰めて考えるようになったんですか?
川上量生(以下、川上) きっかけとかはないですよ。たぶん、基本的に理屈っぽいんです。子どもの頃からどんなものに対しても、「これはどういう理屈になってるんだろう」って考えてました。
—— 以前、人類が滅ぶことを前提に、その滅び方をどうするかだ、という話をされていましたよね(第16回 )。人類が滅ぶ、というふうに考えるようになったのは、やっぱり子どもの頃からSFをたくさん読んでいたからですか?
川上 いや、それも論理的な帰結ですよね。だって、考えてみてくださいよ。いま、地球上でもっとも古くから生き残っている生物といったらなんですか?
—— え、えーと、昆虫とかでしょうか。
川上 いろいろいますけど、例えばゴキブリやアリ、トンボなんかはだいたい1億年から2億年前からほぼかたちが変わってないですね。小さい生き物でそういうケースはあります。最大がトンボくらいで、それより大きい生物は、基本的に生き残っていないんです。
—— はい。
川上 そうすると、人類がここから1億年生き延びるって考えるほうがおかしくないですか?
—— おー、なるほど。
川上 じゃあ、1億年以内に滅ぶとしたら、どういうふうに滅ぶんだろうと考えます。いろいろなパターンがあるわけです。たとえば、6500万年前に恐竜が滅んだときの大隕石の衝突。あれって、今でも起こる可能性があります。そして、それが起こったら人類が生き延びられるかはあやしい。今の科学では、滅ぶ可能性はかなり高い。
—— そうですね。
川上 こういうパターンも考えられます。いま、ベテルギウスっていう超巨大な星が爆発しかかっていて、もしかしたら、もう爆発しているかもしれないんですよね。で、超新星となって爆発するときに、ガンマ線が光速に近い速さでビームみたいに放出されるんです。それが地球にあたったら、地球の大気が吹き飛ぶという説もあるらしいんですよ。
—— そ、それは(笑)。
川上 まあ、空気がなくなったら、僕ら死にますよね(笑)。そのガンマ線の放出って、爆発する星の自転軸から2°の範囲なんだそうです。地球の方向はそれよりもずれてるから直撃する心配はない、とも言われてるんですけどね。
でも、超新星爆発が起こるときは、自転軸自体も不安定になってくるくる回転する可能性があるから、ひょっとしたら当たる可能性もなくはないとか。
—— そうなんですね。
川上 で、もう爆発してて、そのビームが地球に向かってた。ということがわかった時には人類、滅亡してます(笑)。
—— なるほど……。
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