「うちがこんなところに立っていてごめんなさい」
—— 以前、「乃木坂に入ってから、アイドルは大変だと知った」と仰っていましたね。具体的に、どういうところが大変だと思いましたか?
生駒里奈(以下、生駒) いろいろありますけど、やっぱりシングルを歌う選抜メンバーの発表のときは辛いですね。外から見ると、「どうしてあんなことでみんな泣いているのか」「なんでセンターに選ばれて辛い思いをしているのか」とか、わからないと思うんです。
—— 生駒さんはセンターを任されて辛かったですか?
生駒 そうですね……。センターになると、それを喜んでくれるファンと、「なんで生駒なんだ」って批判する人、真っ二つの意見が同時に出てくるんです。この世の真逆のものが、うちにガーンとぶつかってくる感じ。 確かに、他のメンバーを推してるファンの方にとっては、私がいることでセンターの座が奪われちゃうわけですから、それは喜べないですよね。
—— なるほど。
生駒 そういう批判にさらされると、「わぁあああ」って逃げ出したくなっちゃうわけです(笑)。だから、センターだった頃は「うちはセンターでいちゃいけない人なのに、なんでセンターをやってるんだ」っていう思いが常にありました。ずっとクヨクヨしてましたね。
—— センターを務めている1年半で、精神的に強くなれましたか?
生駒 うーん、あんまり強くなれなかった気がする……。いつも「うちがこんなところに立っていてごめんなさい」っていう気持ちを忘れるために、自分は二の次にして、乃木坂というグループを押し上げることだけを考えていました。
—— あるスタッフさんが「生駒ほどグループのことを考えているメンバーはいない」と言っていました。そういう人だからこそ、センターに選ばれ続けたのでは?
生駒 どうだろう。うちがセンターだったのは、“地味”だったからじゃないですかね(笑)。
乃木坂46 New Single「夏のFree&Easy」
—— どういうことでしょう(笑)。
生駒 センターっていうのは、周りのメンバーを引き立てられる人じゃないといけないと思ってるんです。そういう意味では、うちは地味なタイプだったから、他のメンバーの方を目立たせることができたのかなと。
—— それが生駒さんの思うセンター像なんですね。では、今の乃木坂に必要なセンターって、どういう人だと思いますか?
生駒 “乃木坂46のことを責任をもって伝えられる人”ですね。今は、乃木坂っていうグループを広めていかないといけない時期なんです。 だから、個人としていろんなところに出つつ、グループの活動に戻った時は「私の所属しているグループは乃木坂46です」ってちゃんと言える人じゃないといけない。それはセンターに限らず、私も含めてみんながやっていかなきゃいけないことだと思ってるんですけど。
表現力を磨くことが“綺麗になる”ということ
—— 昨年7月にリリースされた乃木坂46の6thシングル『ガールズルール』から、他のメンバーがセンターを務めるようになりました。気持ちの変化はありましたか?
生駒 正直、センターから外れた時はすごく気が楽になって、「これからは自由にやっていこう!」って思いました。そうなると、今までは考えないようにしていた“自分のやりたいこと”っていうのがたくさん出てきて、「こんなにも私は自由に動けるんだ」ってことに気づきました。
—— それ以後は、個人としての活動でもファッション誌『KERA』の表紙モデルやアパレルブランド「MINT NeKO」のモデルを務めるなど、いろんな活動をしていますね。
生駒 そうなんです! どちらも中学生の頃から大好きだったので、今、昔からの夢がたくさん叶っている感じです。乃木坂のメンバーとしても、大好きな『NARUTO』の主題歌※を歌えましたし。もうホントに、ファンの方にもスタッフさんにも「夢を叶えてくれてありがとう皆さん」と言いたいです(笑)。
※『NARUTO』の主題歌:TVアニメ『NARUTO -ナルト- 疾風伝』のオープニング曲『月の大きさ』を乃木坂46として歌ったほか、スペシャルユニット「ナル坂46」の一員として番組内のミニコーナーに出演中
—— 『KERA』でも絵本の中の女の子のような世界観に挑戦するなど、生駒さんって、クリエイターの思う「こうしたい!」という世界に常にうまくハマっているような気がします。
生駒 たぶん、ノーマルで地味な顔だから、いろんな世界観にハマるんじゃないでしょうか(笑)。ファッションは大好きなんですけど、自分でデザインしてみたいっていうよりは、デザイナーさんが作る服を引き立てるような人になりたいなって思うんです。
—— どうすればそんな役割を担える人になれると思いますか?
生駒 表現力を身につけること、ですかね。きっと、ダンスや写真のモデルをたくさんやることで、いろんな表現の引き出しを自分の中に持てると思うんです。それが、“綺麗になる”っていうことだと思う。だから今は、いろんなことをやって、自分の表現力を磨いていきたいです。
さらなるインタビューが、dmenuの『IMAZINE』でつづいています。
「外に出て、乃木坂メンバーのあたたかさを知った」生駒里奈
ぜひこちらからお楽しみください。
執筆:西中賢治、撮影:青山裕企
『夏のFree&Easy』乃木坂46 2014年7月9日(水)発売