それから二十分程度で、例のライブハウスに着いた。だがそこはファーストフード店に様変わりしていた。
ファーストフードの店員さんに聞いてみると、別の場所に移転したらしいとのことだった。
周囲はテレビで見た通り、いや、もっと明るいネオン街だ。
行き交う人々は、音浜町よりもずっと派手で陽気に見える。高校生とおぼしき雰囲気の少年少女があちこちに見受けられるが、女の子はメイクばっちり、男の子もシルバーのアクセサリーなどを付けている。
これは……音浜町とはえらい違いだ。
見知らぬ情景に
「こんばんは~。二人ともめちゃめちゃ可愛いッスね~」
「どおも~。その感じだとまだ学生さんだよね?」
スーツに第二ボタンまで開けたシャツ。動くたびに漂ってくるヘンな香水の匂い。
この人たち……まさか、ドラマで見たホストってやつ……?
「自分たちで言うのも何だけど、うちイケメン揃いなんスよ~」
「絶対損はさせないからさ、ちょっと寄ってってよ」
そう言うとホストは理真の肩を抱こうとした。驚いた理真が「きゃ」と体を
「理真! 走って!」
「は、はい……っ!」
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