反論は「書面」で出させよ!
実業界では、毎日、本当にクリエイティブなアイデアがたくさん切り捨てられている。もったいない話だ。コンセプトの足腰が弱ければ、それを基礎としてしっかりした明日を作ることもできない——優れたアイデアがなければ望む未来は得られないのだ。だから、いいアイデアが切り捨てられないようにしなければならない。
実はこれ、わりと単純な方法で実現できる。反論を書類にするよう求めればいい。口頭で否定するのは簡単だ。新しいアイデアを示されてなにかいわなければならないと感じたとき、まずまちがいなく、ほめるよりけなすほうが楽である。人というのはそういうものだからだ。イエスよりノーのほうがいいやすいのだ。
だから、反論は書類にさせる。誰が書いたのかわかる形で批判すると、その否定的意見に対して責任を負わざるをえない。その案件はうまくいかないと主張したことが記録に残るからだ。
最終的にその案件が実施され、成功した場合、否定した人には先を見通す力がなかったことになる。だが、口頭で否定しただけなら、聞きまちがいだろうとか、誰か別の人の意見を伝えただけだとか、なんとでもいい逃れができてしまう。
バカが「ノー」と言いたがるわけ
創造性を高めるには、社内でノーといえる方法をなるべく少なくしなければならない。だが、たいがい、企画の成否を左右する力をもつ人ほど論理的に分析しない。批判に対しても責任を負わなければならない仕組みにすれば、そういう人も気軽に批判できなくなる。
反論を書面にすることには、もうひとつ利点がある。回覧ができるので、ほかの社員の意見を追加していけるのだ。具体的になるのもいい。たとえば最大の問題点がコストという場合、その数字を書くためにはそれなりにきちんと評価しなければならないし、そういう数字が出てくれば、発案者が具体的に反論することも可能になる。
つまるところ、反論をすぐ口にする場合、あまり深く考えていないことが多いのだ。口を開くことが大事で、正確であることには重きが置かれていないからだ。これに対し、書面を作るとなると、きちんと分析してなにがいいたいのかをきっちり説明しなければならない。