「婚姻届」という響きに、あなたは何を思うでしょう。
あなたは、結婚したいと思っていますか?
結婚を選ばないつもりですか?
それとも、もう結婚していますか?
そして、それはなぜですか?
わたしは、フランス人女性とフランスの法律で結婚し、パリで生活する日本人女性です。
彼女とわたしは、お互い相手のことを“妻”だと考えています。どちらかが男役だとかいうことではなく、お互いをひとりの女性として愛し合っている、いわば“婦妻”です。
(戸籍上女性同士のカップルが全員“婦妻”かというと、そうではないのですけれどね。性別に関係なく、たとえば男女カップルにだって、人と人との関係性にはいろんな自己認識がありますものね)
フランスで結婚するともらえる、「家族の手帳(Livret de famille)」の中身。
「妻もしくは母となる者」のページが二人分並び、後には将来二人が子どもを育てることになった時のためのページが「子1」「子2」……と並んでいます。
さて、いざ結婚を届け出る時は、本当にワクワクドキドキしました。在仏日本大使館に必要書類を取りに行ったら、「日本にも報告の意味で婚姻届を出してくださいね」と、婚姻届をもらいました。
婚姻届!
婚姻届って、あの婚姻届ですよ! ドラマとかによく出てくるやつ! ゼクシィの付録で「妄想用婚姻届」とかついてきたくらい、結婚を夢見る人にはまぶしくてたまらないあの白い用紙、輝かしい三文字!
婚・姻・届!!
鼻血出そうになりながら、愛する彼女とわたしの名前を並んで書き入れました。「夫となる者」の「夫」の字に×をつけて、くっきり「妻」と書き変えて。だってパリ市役所の窓口の人は、別の書類をその手で「妻」と書き変えてくれたのです。立ちはだかっていた大きな何かを、わたしたちは書き変えたんだ! わたしは婚姻届を前に、感動の涙と興奮の鼻血をぶるぶるしながらこらえていました。
そんな婚姻届を、わたしは今も出せないままで持っています。
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