笑いは心を軽くするか?
西 K君は自意識が強かったって話に戻るけど、うちも自意識は強いほうやねん。駅の自動改札を通るとき、絶対に引っかかると思って通るの。
めろん 改札ドアが「バーン」って?
西 そう。でも、そこでびっくりするのが嫌で、「バーン」ってなっても「ふうん、知ってた」みたいに通りたいの。
めろん わかるような、わからないような……。
西 でも最近な、「バーン」の後に「うぅっ!」ってなっても、そんな自分をちょっと上から見て、客観視して笑えるようになってん。笑えるとラクになる。それは大阪人特有なのかもしれんけど。
めろん 笑いは大事だよね。俺は、大阪人って鬱病になりづらいんじゃないかと思ってるよ。大阪弁てな、何を言っても語尾に「(笑)」がついてる気がすんねん。
西 バカにしとんの?(笑)
めろん いやいや、やっぱり言葉と認識ってつながってるからさ。西さんの小説『舞台』(講談社)もな、東京弁で書いてるけど、この句読点の打ち方って、絶対に大阪弁のイントネーションやねん。
西 ほんま?
めろん うん。間違ってるとかそういうのではなくて、呼吸が違うねん。とにかくさ、大阪弁で「鬱病やねん」って言われると、突っ込んで欲しそうやん。「俺なぁ、鬱病やねん(笑)」って。
西 それはめろん君が「(笑)」つけて言ってるからやろ! 本気で言われたら、そりゃ「大丈夫か?」ってなるよ。
めろん でも大阪ってさ、常にツッコミ待ちというか、つらいことがおいしいって文化があるやん。
西 それはある。それで生きていける。
めろん マイナスのカードを集めれば集めるほど強くなるよな。