「歪んだ鏡」は本当の自分を映さない
この章では、「自分は特別な人間だ」という自意識から自由になるにはどうすればいいのか、を考えましょう。
ここでのキーワードは人間関係や社会とのつながり、つまりコミュニティです。
自意識も、健全なものは自己肯定力の源や、自由を獲得する力になり得ます。
ですが問題は、「不自由な自意識」です。
これは、自分と世間がうまくかみ合っていないときに生まれます。
他者の目や世間の評価を、自分の内面の声として受け取ってしまい、そのギャップに苦しむのです。
これを寓話化した、みなさんも知っているお話があります。
グリム童話にも収録されている『白雪姫』です。
ある王妃が魔法の鏡に向かって「世界でいちばん美しいのはだあれ?」と問いかけたところ、娘である「白雪姫」という答えが返ってきます。王妃はそのことに怒って、白雪姫を殺そうとするのです。
僕は、この王妃は、おそらくそれなりに美人だったのではないかと思います。
なぜならそれまでは自分が「世界で一番美しい」なんて本気で信じていたわけですから。
その幻想を壊したのが魔法の鏡です。
これは一体なんなのでしょうか。僕は、魔法の鏡というのは王妃の自意識だと解釈しています。
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