小さい頃、僕はいつも一人で遊んでいました。
砂をさらさら落とし続けたり、流れる水に見とれたり、他の人から見れば、まるで意味のない遊びを繰り返していたのです。
人と関わるのが苦手だった僕にとって、一人遊びは、自分を守るための時間だったような気がします。
僕にはこの世界が、息苦しいだけの場所だったからです。
振り返ってみると、どうしてあんなにも人から逃げ回っていたのかわかりません。
たぶん、周りの人が全て、僕とは違う種類の人間に思えてしかたなかったのでしょう。
いまだに講演会などで他の土地に行くと、心が解放された気分になります。誰も僕を知らないという状況が心地いいのだと思います。
旅先で感じることは、そこで暮らしている人にとっては、僕も風景の一部のようなものだということです。人でなくてもいいと感じる瞬間が、僕に活力を与えてくれます。