cakesの代表の加藤です。こんにちは。
2013年の9月11日に、cakesは1周年をむかえました。
これまでに購読していただいたかた、読んでいただいたかた、
そして寄稿していただいたみなさん、ありがとうございます。
みなさんのおかげで、チーム一同、やってくることができました。
準備段階も含めて、もう2年ちかくcakesの仕事をしています。
2012年の春に、どんなサイトにしようかを考えました。
インターネット上に、クリエイターと読者をつなぐ場所をつくりたい。
そこには、なにが必要なんだろうか?
ネットは情報がはやいんだから、いろんなおもしろいひとのインタビューがほしいな。
80年代の雑誌みたいに、新しいエッセイストやコラムニストが生まれる場にしたいな。
ウェブなんだから、写真もたくさん載せたいな……。
そこまで考えて気づきました。これ『ほぼ日』じゃないか。
もう、ほぼ日が、ぜんぶやってるのか!
ぼくは糸井さんじゃないので、同じことはできません。
単純に似たことをやっても、いい感じにはならないでしょう。
そのあといろいろ考えて、実際にやってきたことについては、
みなさんにご評価をいただくしかないのですが、
ずっとそのことを考え続けて、今日をむかえています。
cakesの1周年を記念してインタビューをする方をということで、
まっさきに思い浮かんだのは糸井さんです。
聞きたいことが、やまほどあります。
思い切って、こんな手紙を書きました。
(手紙を出す数日前に大根仁監督の映画「恋の渦」のトークショーに
出演されたのを訪ねて、ご挨拶をしました。その話から始まります)
前略 先日は『恋の渦』のトークショー後に、
ご挨拶させていただきありがとうございました。
ずっと昔からファンだったので、とても光栄でした。
私は、今年40歳になります。糸井さんのことは、子供のころから拝見しています。
はじめは、埋蔵金を掘ったり、キムタクと釣りをするひととして出会いました。
そして「MOTHER」の糸井さん、「ほぼ日」を始めた糸井さんを目撃しました。
就職して編集者になったあとも、もちろんずっと見ています。私は以前、いくつかの出版社で働いていたのですが、
『もし高校野球の女子マネージャーが『ドラッカー』を読んだら』
という本の編集を担当した際、ほぼ日のみなさんといっしょに
お仕事をする機会をいただきました。
奥野さん、木下さん、佐藤オトヤさんなどにお世話になりまして、
みなさんがまとっている「ほぼ日な雰囲気」と、お仕事に向かう姿勢に
感銘を受けました。いま私は、ウェブで有料コンテンツをつくって配信するための仕組みと、
その上で配信するメディアをつくる会社を運営しています。
出版社をやめてこんなことをはじめた理由は、
一言で言うと、電車の中がスマートフォンを見ている
ひとばかりになってきたからです。
出版の未来、クリエイティブの未来を危惧してということもありますが、
作り手として、こんなに伸びてる場所で、こんなにみんなが使ってる場所で
やらないわけにはいかないという思いがいちばん強いです。cakesは、この9月にようやく1周年を迎えました。
インターネット上に、これから先、ものづくりをする人たちのための、
新しい「場所」が必要だと思ってつくったサイトです。
まだまだよちよち歩きですが、これまでに200人以上のかたに登場いただきました。会社をはじめて、日々、驚くことばかりです。
組織づくりもはじめてですし、ネットメディアをつくるのもはじめてです。
なにかを思いついたときや、新しい気づきを得た後に、「あ、これはもう、ほぼ日にあるのか」
「そうか、ほぼ日はだからこうしてるのか」ということがしょっちゅうあります(いちばんの驚きは
「糸井さんはこれを15年もやっているのか!」ということです)。
私にとっての糸井さんが、ネットメディアをつくった先輩、
会社組織をつくって勝負している先輩、というふうに、また変化しました。たいへんずうずうしいお願いがひとつあります。
いちど、お話をうかがう機会をいただくことはできないでしょうか。
可能であれば、cakesに掲載するインタビューとしてできればと思っております。お伺いしたいのは、インターネットとメディアの未来についてです。
糸井さんがどう考えてほぼ日をつくったのか、
これまでやってきてどう感じたのか、
これからどうしようと思っているのかをうかがえれば、
みんなの未来が見えてくるのではないかと考えています。たいへんお忙しいところに、お願いをしてしまい恐縮しています。
ご検討いただければ幸いです。糸井重里様
2013.10.14 加藤貞顕拝
パソコンでの下書きを、便箋に書き写し、ポストに投函しました。
翌日のお昼すぎ。歩きながらスマートフォンでメールを確認したら、
「糸井重里です。」
と、ありました。メールを開くと、
From: 糸井 重里
Sub: 糸井重里です。
加藤貞顕さま
糸井重里です。
お手紙をありがとうございました。よくやってるチームだなぁ、と思って注目していたので、
インタビューのおはなし、よろこんでお受けします。
少々、馬齢を重ねているといいますか、年長さんですので、
その分だけ、失敗や心配も数多くやっているかもしれません。
加藤さんのさまざまな冒険や決断の話も、
ぜひ聞かせてください。スケジュールにつきましては、
マネージャー役の小池花恵にCCしておきますので、
彼女と決めてください。
たのしみにしています。よろしく お願いします。
ありがとう ございました。iPadから送信
なんだかもう、圧倒されました。
こんなに短いメールなのに、言葉の力がちがいます。
ぼくらを褒めてくれる言葉に「チーム」という単語があったことが印象的でした。
まさに、そのことがいちばん聞きたいことだったからです。
ぼくたちがやろうとしてることをひとことでいうと、
インターネット上に新しいクリエイティブの場をつくる
ということです。
そのための会社運営でも、日々、悩みはありますし、
そして、それを社会全体に広げようとしてやっています。
そのためのヒントは、ほぼ日の歩みの中にあるのではないか?
ということで、インタビューをさせていただくことになりました。
その模様を、来週月曜日から連載で配信します。
ぜひ、ご覧になっていただければ幸いです。
cakes代表 加藤貞顕