​僕が誰かの悪口を言わない理由

bar bossa店主・林伸次さんは、「悪口を言わない」と決めているのだそうです。それによってもたらされる、ある効果を実験しているそうなのですが、それはどういうものなのでしょうか?

松井秀喜は悪口を言わない

いらっしゃいませ。
bar bossaへようこそ。

突然、変なことを言いだしますが、僕は「悪口を言わない」って決めています。

元野球選手の松井秀喜が中学生の時、「今日の試合、あいつのせいで負けた」って言っていたのを父親が聞いて、「そんな下品なことをするんじゃない。二度と人の悪口を言わないと約束しなさい」と強く叱ったそうなんです。それ以来、松井は二度と悪口を言わないようになったそうです。

この話を知ったとき僕は、松井にとってどこからどこまでが悪口なのか気になったんです。理由はもちろん僕も「悪口を言わない」って決めているからなのですが、最近、ある人について「こんな困った人だった」ってついついみんなに言ってしまったので、それは悪口なのかなあと悩んでいるわけです。

松井選手にとっては、どうやら「誰かを批判する」というのはもう悪口のようです。「あの作品、つまんないよね」とか、「あのお店、不味いよね」とか、「あの人、わかったようなこと言ってるけど、わかってないよね」とか、このあたりはもう確実に悪口なのでしょう。

その線引だと、僕が「こんな困った人だった」って言っていたのも悪口に該当しそうです。悪口を言わないって決めているのに、これは反省しなきゃなあと思いました。

さて、僕がなぜ「悪口を言わない」と決めているかというと、これはひとつの「実験」なんですね。例えば僕は、「毎日、何かを書く」というのと「携帯電話を持たない」というのを実践していますが、これもそれによって「自分はどうなるのか」っていうのを実験しているんです。

「毎日、何かを書く」と決めると、世の中を見つめるときに、明らかに「解像度」が高くなるんですね。普通に過ごしていると「ネタ」にはならないと言いますか、「この現象、もう少し膨らませたらネタになりそう」って思いながら日々を過ごすと、世界を少し掘り下げることができるんです。「携帯電話を持たない」理由はまた別にあるので、どこかで書きたいと思います。

ひどい人よりも印象に残る悪口を言う人
この続きは有料会員の方のみ
読むことができます。
cakes会員の方はここからログイン

林さんの小説が文庫化されました

ケイクス

この連載について

初回を読む
ワイングラスのむこう側

林伸次

東京・渋谷で16年、カウンターの向こうからバーに集う人たちの姿を見つめてきた、ワインバー「bar bossa(バールボッサ)」の店主・林伸次さん。バーを舞台に交差する人間模様。バーだから漏らしてしまう本音。ずっとカウンターに立ち続けて...もっと読む

この連載の人気記事

関連記事

関連キーワード

コメント

zJU5xLbK6ftfooh そういえば小学生の時、悪口を代弁させようとする子がいたな。「ねぇ、●●ちゃんのこと好き?」と探るように聞いてくる奴が😂 僕が誰かの悪口を言わない理由|林伸次 @bar_bossa | 19日前 replyretweetfavorite

alexandre_ishii 僕が誰かの悪口を言わない理由|林伸次 @bar_bossa | 19日前 replyretweetfavorite

rosebourbon 僕が誰かの悪口を言わない理由| あるよね、これ。噂話の的になってる人のことはあんま憶えてないけど、人に対して「いつも他人の噂話してるな、この人」みたいな印象だけ残っちゃうの。気をつけよ。 19日前 replyretweetfavorite

keizin0309 僕が誰かの悪口を言わない理由|林伸次 @bar_bossa | 19日前 replyretweetfavorite