収入が安定した仕事を取るべきか、不安定になる夢を追うべきか

今回は俳優になる夢を捨てきれない28歳の方からの相談です。仕事を辞めて俳優になる夢を追うべきか悩む彼に、MBさんはどんな言葉をかけるのでしょうか?

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ペンネーム:まっつ

MBさんこんにちは。初めて投稿させていただきます。人生相談になります、ご回答いただけたらとても嬉しいです。私は28歳の独身男性で都内で会社員として働いています。大学入学のために2年間浪人したため、社会人としては4年目にあたります。

私は今自分の人生にとってより良い進路の選択と決断をすることができておらず、もどかしく苦しく感じる状態が続いています。

自分の話を少しさせてください。私は幼いときからこれといった明確な夢はなく、大学進学の際に法学部を選びました。その理由は木村拓哉さん主演のドラマ、HEROを観て、木村さん演じる検察官がとてもかっこよく、なりたい職業をあげるとしたら検察官だったためです。

ですが入学すると自分より遥かに強い思いを持って法曹を目指している、熱意を持って勉強に取り組んでいる同期たちを見て、とても彼らには敵わないと心から感じ、諦めるという強い決断をするでもなく、自然に清々しいと言えるくらいの気持ちで検察官を目指し勉強することをやめました。

映画やドラマを見ることがとても好きだったこともあり演劇のサークルに入っていたのですが、法律の勉強をやめた後は演劇サークルで役者として舞台に立つことにどんどんのめり込み、大学生活はほとんど役者としての活動に費やしました。

大学4年になり就職活動をするにあたって、自分が一番好きなことが映画や演劇、舞台に立つことだったのでそれに携われること、その製作ができることを軸に就活をしたのですが希望の会社から内定をもらうことはできず、別の業界の会社に入り今日まで働いています。

仕事自体はそこまで辛いわけではなく、休みの日には映画を観たりギターを弾いて過ごし、総じて楽しいと言える日々を送っています。

しかし30歳を目前にして自分の人生を考えたとき、決して満足できる人生であるとは言えません。

私は1番好きなものが映画や演劇であり、自分の感情を最も動かしてくれるものが出演している俳優の演技です。そこへの強い憧れがあり、本当の私の理想は誰かの心を強く動かす俳優として生計を立てて生きていくことです。

就職活動をするときにもその自分の理想は分かっていたのですが、その道で食べていくことの難しさ、アルバイト等別の手段で生活費を稼ぎながら役者の活動をすることへの社会的な負い目のようなものを意識してその理想を追いかけることはできませんでした。

自分がこのまま生きていけば、人生を終える瞬間に俳優をせずに生きたことを少なからず後悔するのだろうなとは思います。

ここまで自分の気持ちを分かっているつもりでいるのに、俳優として生きていく決断ができません。自分は俳優として演技をしたいという思いがあるくせに人から評価されることへの恐怖も強く、また、20代後半になって俳優を志し生活を不安定にしながら生きていくことへの不安も大きいです。

しかし今の生活で満足は決してできない、幸せだとは言えないため、より自分にとって良い人生にするために別の道を考えてはみるのですが、ベストではなくともより快適な選択肢となり得る他の企業への転職や、俳優以外の形で映画や演劇の携わること等々どれもしっくり来ません。

映画が好きではあるのですが映画の撮り方や観ている本数がそこまで多いわけではなく、知識という面では自分より遥かに詳しい人がたくさんいて、映画のレビューや批評をするには力不足であるしそもそもそこへの興味はあまりありません。

ギターやファッション等他の好きなことで生きていける道を模索してみようとも思ったのですが、ギターは自分で弾いているだけで満足できてしまいますし、ファッションに関しては自分の好きな服を買ったり着たり、MBさんの発信を見て色々知見が広がったりすることはとても楽しいのですが、服で誰かを幸せにしたいともできるとも思えません。

となるとやはり演技をして生きていくのがベストな道だとは思えるけれどその道を進む覚悟ができない、という状態が長い間続いています。

今の会社で働き続けることは自分にとって幸せなことではないことは間違いないです。
しかし次の選択として
俳優をすること、
別の企業に転職すること、
または別の道で生計を立てること、
これらの間を決めきれずに考えをあれこれ巡らせて時間が過ぎてしまっています。

この状態から抜け出すための指針やヒントをMBさんからいただけたらとても嬉しいです。

長くなってしまい恐れ入りますが、何卒よろしくお願いします。

ありがとうございます。なるほど……。

「俳優業」で「稼ぐ」必要は特にない

迷いが解けるヒントになれば良いなと思うので先に書きますが、「俳優業をすること」と「生計を立てること」は一緒に実現しなければいけないのですか? その理由はありますか?

例えば僕の知人にも演劇をしている方がいますが、本人は「これで食っていけるわけがない」と考えており別の仕事をしています。生計を立てるための「仕事」と、自分が心から楽しむための「演劇」を明確に分けているようです。「表現する仕事がとても好きで、それはお金うんぬんじゃない」と以前教えてくれました。その時、生き方を「1軸」にまとめる必要はないんだなと改めて思いました。

俳優業をすること
生計を立てること

これは別で考えてはいけませんか?

確かに俳優業をするためにはレッスンなど時間も必要かもしれません(あまり詳しくはないので想像ですが)。しかし超一流の舞台に立ち観客を沸かせることが目的ではなく、どちらかといえば自己の人生を彩るためのものですよね。だとすると限られた時間で俳優業をやる方法も模索できるのではないでしょうか?

俳優業をしながらだと生計を立てる仕事の稼働時間が短くなるわけですが、それでいいなら短時間でなるべくお金を得られる仕事も探すのがいいと思います。必ずしも「俳優業」と「生計を立てること」がセットになっていなくて良いと思いますが、いかがですか?

そもそも「100%好きなことで満たされた人生」など送れるはずがありません。人は社会の中で生きています。また社会の中に生きる人は大なり小なり誰かに必ず迷惑をかけて生きています。他人を許容し合いながら生きるのが社会である以上、自分も誰かの迷惑を被るわけですよね。なので「嫌なこと」を経験しなければいけない仕組みになっているんですよ。

「なるべく」好きなことで満たされるように人生は設計すべきですが、あくまで「なるべく」です。「全部」は無理です。ホリエモンでもユニクロの柳井さんでも「全部幸せ」は100%絶対無理です。関わる人間がいれば必ず100%にはなりません。

そりゃもちろん「俳優業で生計を立てる」ことができたら良いでしょう。でも質問者さんの目算でそれがどうも不可能だと思うのであれば、「生計を立てる」ことを別軸で考えるのも良いと思うのですよ。そうした「100%を目指さない」のが人生を健やかに生きるコツだとも思います。実際構造上「幸せな時間100%の人生」は難しいんですから。

僕だって同じです。本当は僕もドラマーになりたかったしミュージシャンになりたかった。でもそれがどうも叶わないと思うから、ドラムは趣味にしているのです。でも思う存分叩けるように自宅に防音室を作っています。それで僕は100%とは言わずともある程度満足できています。

「理想」より「他人の目」の方が大事?
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