「皆様、ありがとうございました。よく正直に話してくださいました。どうでしょう、ここで皆様の勇気をお互いに称え合い、拍手を送り合いましょう」
亮潤の言葉に、皆、戸惑いながらも拍手を始める。
パチ パチ パチチ。
パチパチパチパチ! 木がはぜる音に負けないくらいの音を立てる、『パチバルジャン』。お前には「勇気」より「狂気」を感じたがな。おれは思う。
「ありがとうございます。皆様は無事、門の前までやってきました。これから一緒にこの門を潜っていきましょう。ではこれより、『問答の儀』に移っていきます。私が皆様にいくつか質問しますので、皆様は引き続き、それに正直に答えて下さい」
「はい」
「問います、皆様は過去に自分が借りパクされたことはございますでしょうか、あるという方は挙手してください」
全員が手を挙げる。
「ありがとうございます。ではその中で、今なお返して欲しいと思うものは存在しますか? あるという方は挙手してください」
おれとクロエが手を挙げる。
「問います。皆様が懺悔した借りパクしてしまったものの中で、現在一番後悔している、もしくは気になっているものを教えて下さい。発表は、『懺悔の儀』の逆順でお願いします」
「時間です」とクロエ。
「成田千佳です」とカンバルジャン。
「タイヤです」とボンネ。
「文庫本です」とおれ。
レモンも文庫本もその限りではないが、仕方ない。
「よろしい。では皆様、目を閉じて下さい」
おれたちは目を閉じる。
ついに待ちに待った瞑想タイムだろうか? 反省の足りない、心が乱れたものを亮潤様が警策でパシパシ叩く。亮潤様、山田に関しては肩ではなく頭を、いや、足のスネをおもいっきりお願いします。おれは本気でそう願う。
「問います。皆様が今答えたものについて、もし仮にそれを今、持ち主に返すことができるとしたら、皆様はそれを返しますか? 返すという人は挙手して下さい」