こんにちは、自炊料理家の山口祐加です。この連載は楽しみながら自炊を続けていく方法について全8回でお届けするシリーズです。
第1回では、そもそも料理の楽しさとは何かについてお話しました。五感をフルに使って料理し、自分がおいしいと思う味を深掘りしていく面白さをざっくり理解してもらえたと思います。
「さて、では具体的に何を作ろうか」が今回のテーマです。
食事には献立という「型」があります。
例えば、汁物とおかず、ご飯で構成された「一汁一菜」。これは私が3年以上続けている食事のスタイルで、忙しい人にぴったりです。
最初は好きなおかずを1品作って、汁物はインスタントにする。逆におかずはお惣菜を買ってきて、汁物だけ簡単に作る。野菜不足を感じる時は、サラダを作ったり買ったりして足してもいいかもしれません。
ランチであれば、パスタ、カレー、うどんなど1品で完結する食事にすると決めてしまうこともありです。
なぜ型から決めるの?と思われるかもしれませんが、毎回「今日の献立は何にしよう?」とイチから考えるのはけっこう大変です。
それであれば、構成(一汁一菜など)だけ先に決めてしまって、具体的な料理はその都度考えるとラクになるのです。
もちろん、型は絶対守らなければならないものではありません。その都度気分によって品数を足したり、引いたりすれば良いと思います。
私の一汁一菜は、基本的にご飯を中心に考えます。
ご飯はそのままよりも、ご飯のお供や、ちょっと濃いめに味付けたおかずがあるとよりおいしく食べられますよね。
どうしてもおかずは肉魚中心になるので、野菜を補うために野菜たっぷりのみそ汁をつけます。
「ご飯に合うおかず」は生姜焼き、照り焼き、肉じゃが、麻婆豆腐、など無限にありますよね。
これから自炊にチャレンジするぞ!という心構えのある方は、ぜひ今後の連載を楽しみにしていてください。
次回以降で出てくるおいしい料理の方程式が理解できれば、いろんな料理が作れるようになります。
献立は大まかに考えて、最後は食品売り場で決めよう
さて、一汁一菜に型が決まったところで今日の献立はどうやって決めましょうか。
先に献立を決めて買い物に行くタイプの人もいれば、買い物をしながら決めるタイプの人もいます。
私はスーパーにその日に売っているものの中で、ピンと来た食材から料理を考えるのが好きなので後者のタイプです。
初心者さんに私がおすすめしたいのは、両者のいいとこ取りをした「ゆる献立」です。
例えば、今日は「卵と野菜一種の炒めものと、海藻のみそ汁」などゆるめの献立を立てておいて、買い物をしながら決めるのです。
そうすれば卵に合わせる野菜はその時おいしそうだなとピンと来た野菜を選ぶことができます。しかも一種類しか買わないので、買いすぎることがありません。
野菜を選ぶときに特におすすめしたいのが、その時期にいちばんおいしくなる「旬の野菜」です。
旬の野菜とは、春ならアスパラガス、春キャベツ、スナップえんどう。夏はトマト、なす、ピーマン、とうもろこし。秋はさつまいも、ごぼう。冬は大根、ブロッコリー、白菜。ざっくりとこれらが挙げられます。
そして、旬の野菜は味が良いだけでなく、たくさん量が採れるので流通価格が下がり、お得に買えます。しかも他のシーズンに買うのに比べて、旬の方が栄養価が高くなる野菜が多いのです。
夏はたっぷりのトマトサラダを食べたり、冬は白菜や大根を入れて鍋を作るなど季節を感じられるのも、旬の野菜のいいところですね。
旬の野菜はメインのおかずに入れるだけでなく、油でじっくり焼いて塩で食べる、切って茹でて、ドレッシングで和えてサラダにするなど、シンプルな調理でも十分おいしいと思えるのが魅力です。
旬の野菜はスーパーの入り口付近に並んでいることが多いので要チェックですよ。
自炊して食べようと思っていたのに、気がついたら遅い時間になってしまった時はスーパーやコンビニのお惣菜や冷凍食品、パウチのレトルト食品などを使うのも手です。
お惣菜はそのまま食べられるものですが、せっかく作ろうと思っていたからちょっとアレンジしてみたい。そんな時は、買ってきたロースカツにトマトのサラダを添えてみる。冷凍の唐揚げを温めて、大根おろしを添えてみる。
少しの工夫で新鮮な香りや味がプラスされますし、ひと手間加えるだけでなんだか誇らしい気持ちになるんですよね。味に飽きたら、ちょい足しアレンジをお試しくださいね。