石原慎太郎死去の報道を見て

元東京都知事の石原慎太郎が亡くなりました。しばしば発言が物議を醸しましたが、それでも人気を集め、4期14年の長期に渡り都知事を務めました。石原慎太郎死去について、武田砂鉄さんはどのように考えているのでしょうか?

「追い詰めるのが普通」だったのは

「彼は最後まで文学者だった」とまとめられる記事や映像をいくつか見た。政治家でもあり文学者でもあった、でも、最後まで文学者だった……という。決して嘘ではないのだろうが、政治家としての言動で多くの人を痛めつけた加害性を覆い隠すように「文学者だった」という言葉を機能させているのだとしたら、あまりにも問題が大きいと思う。

「政治的に思想が異なる人が亡くなっても、亡くなった時くらい素直に追悼してやれ、って思うけど左翼の人は追い詰めるのが普通みたい」と堀江貴文がツイートしていたが、「政治的に思想が異なる」からではなく、とにかくずっと、声をあげにくい人たちを大きな声で潰してきた事実を抜きに語ってはいけない、と考えている。石原こそ、どんな場面でも「追い詰めるのが普通」だったからこそ、やっぱりそれを伝えなければいけない。

「追悼してやれ」という暴力性

「女性が生殖能力を失っても生きているってのは、無駄で罪だそう」「ゲイのパレード、見ていて本当に気の毒だと思った。どこかやっぱり足りない感じ」「(障害者施設を視察して)ああいう人ってのは人格があるのかね」「東京では不法入国した多くの三国人、外国人が凶悪な犯罪を繰り返している。大きな災害が起きたときには、騒擾事件すら想定される」……こういった言葉を繰り返し述べてきた。

頭の中にある差別意識を、自らの権威に頼りながら吐き出せば、ひとまず問題視されるものの、仲間やメディアが「毎度の失言。まぁ、それが彼だから」的な感じで処理してくれる。でも、それぞれの発言で指をさされた側は、さされた経験をずっと抱える。「素直に追悼してやれ」と聞けばそっちのほうが人道的にも思えるのだが、その「追悼してやれ」だけでは暴力性を持つ。それほど、乱暴な発言だらけだった。

「日本の近代史知っているのか?」
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武田砂鉄責任編集。多量記事で多角的に、「TBSラジオ」を物語る。

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ワダアキ考 〜テレビの中のわだかまり〜

武田砂鉄

365日四六時中休むことなく流れ続けているテレビ。あまりにも日常に入り込みすぎて、さも当たり前のようになってしったテレビの世界。でも、ふとした瞬間に感じる違和感、「これって本当に当たり前なんだっけ?」。その違和感を問いただすのが今回ス...もっと読む

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コメント

chorilolila 正当な批判ができるまではもうしばらく時間がいると思う。https://t.co/CYVxomPsM2 4ヶ月前 replyretweetfavorite

syouyutosyouga |ワダアキ考 〜テレビの中のわだかまり〜|武田砂鉄|cakes #石原慎太郎は偉人 #故人を貶めるマスコミ この記事を読むと 私は 腹わたが煮えくり帰ります‼️ 😊💢💢💢 https://t.co/KKahRZH37g 4ヶ月前 replyretweetfavorite

tulutukuhousi #SmartNews 使う言葉が暴力と差別を肯定するものばかりだった人だ。 https://t.co/40Nrcfrhdk 4ヶ月前 replyretweetfavorite

kirghisia “差別的な言動を重ねてきた事実が積み上がっている” #類似暴走老害 #寿命 https://t.co/tsBJjh2EtL 4ヶ月前 replyretweetfavorite