飲食店で流行に手を出すべきか問題
いらっしゃいませ。
bar bossaへようこそ。
バーテンダー修行をしていた頃、師匠の飲食プロデューサー・中村悌二さんから、「潰れないバーの法則」というのを教わりました。
①いつ行っても同じバーテンダーがいる
②いつ行っても同じ雰囲気
③いつ行っても同じ飲み物が出てくる
④いつ行っても同じくらいのお会計
なるほどなあ、って思いますよね。日によって、騒がしかったり知らないバーテンダーがいたりしたら、すぐにお客様は離れてしまうんです。「すごく不快」ってわけでもないんだけど、そういうちょっとした「あれ? 違う」で、お客様は二度と来店しなくなります。これ、定着できたお店や、老舗のお店を見てみると、本当に納得の法則なんです。
僕のお店はバーテンダーが僕しかいないし、妻が選んだワインを出しているので、ほぼ上の条件は押さえられています。でもやっぱり、「メニューを変える」とか「新しいイベントをする」みたいなことをしないと飽きられてしまうから、少しずつでも新しいものを加えていかなきゃいけないんです。ここで、「流行の動きに手を出すべきかどうか」という難しい問題にぶつかります。
例えばbar bossaで、お客様の目の前でチーズを削ったり、アルコールに火を付けたりして、インスタ映えを狙うべきなのか、あるいは、クラフトビールをやるべきなのか、あるいは、ワインとチーズのマリアージュ(ペアリングメニュー)をやるべきなのか、っていうのをすごく悩むんです。
そんなのとりあえずやっちゃえば良いじゃない、って思いますよね。でもですね、例えばbar bossaで、何かインスタ映えするメニューがヒットしたとしますよね。そうなると客層がガラッと変わってしまう可能性があります。
あるイタリアンのお店で、イチゴのサラダがInstagramでヒットしたことがありました。みんなそのイチゴのサラダを注文してくれるのは良いんだけど、ドリンクを注文しないでそのサラダの写真を撮って2人でシェアするお客様ばかりになってしまったそうです。売り上げ的にすごく危険ですよね。メインのお肉やお魚、パスタやワインも注文してもらわないと、席だけ埋まって赤字になってしまいます。