どうも。
いよいよ今年も終わりますな……。
今年は自分にとってめちゃくちゃ実りある一年だったと思います。マジで。
久方ぶりの舞台に立ちーの、会社立てーの、トツギーノ……。
この実りを無駄にせず、ちゃんと収穫して、お世話になった方へ配って、余ったら保存して、土耕して種植えて、来年はもっと実りある年になれば良いと思います。
来年もよろしくお願いいたします。 それでは2021年最後の投稿です。お願いします~。
アー写って、なに?
前話にて、ひょんなことから『企画・クリエイティブ・余興芸人』という肩書きへと進化(?)した、サラリーマン天真みちる。
名刺交換の度に、半笑いで
「え……余興芸人って何ですか?」
と聞かれ、
「え、いや、あの……」
と歯切れ悪く説明する羽目になり、お時間を取らせてしまう。
しかも、「御社の忘年会の際には是非お呼びください!」などといった気の利いた営業台詞も言えず、ただただ困惑させて終わる。
余興芸人になってから、一度も余興芸人として機能することは無く過ごす日々……
このままではいけない……と思っていたある日、上司から、「プレイヤーと二足の草鞋を履いていくのなら、アー写が必要かもしれないね」というようなことを言われた。
「アー写って……なんですか?」
私は、曇りなき眼で上司を見つめ問いかけた。
上司は丁寧に教えてくれた……なんで知らんねん!とは言わずに。
アー写の説明を聞き、なぜそんなことにも気づけなかったのか、と自分を恥じた。
宝塚歌劇団時代だって『宝塚おとめ』で、毎年写真を撮っていたではないか……。
もう。ほんとに。自分の無知さと無防備さに腹が立ってくる。
「歌って踊れるサラリーマン」になりたい!と、でっかいビジョンを描くは良いが、そのための宣伝対策や戦略が全く練れていない。
会社もプロダクションではないので、プレイヤーとして進むことを許可はしてくれても、「どう進むか」を一緒に考えて行ってくれるわけではない。
もっとしっかりと戦略を練らねば……。 そう思いつつ、急いでアー写撮影に行くことを決めた。
だが……。
「アー写って……どこで撮れば良いんだ?」
私は「アー写 撮影」でググった。
一秒後には沢山のスタジオのプランが並び、一体どれを選べば良いんや……状態に。
プランを流し見しながら、きっと人見知りな自分は、初めて会うカメラマンさんに緊張してニコリともせず睨みつけるようなショットしか撮れないだろうな……と後ろ向きになってしまい、パソコンをそっ閉じした。
一体どうすれば、仕事を依頼したくなるような、自分らしさが伝わってくるアー写を撮影することができるだろう……
私の事をよく知っていて、世界観を創り出すことの出来る凄腕のカメラマンの方……
誰か……誰かおらんか……
小一時間程考えて、ふと、「四方花林(しかた・かりん)ちゃん」の存在を思い出した。
四方花林ちゃんは、元宝塚歌劇団94期の後輩で、在団時は星組に配属する娘役さんだった。
在団時の芸名はひなたの花梨。
宝塚歌劇団では、同期、一期上の上級生の方、一期下の下級生は音楽学校時代にかなり濃い目の交流があれど、劇団に入ってしまうと、同じ組に配属されていない限りなかなか接点がない。
そんな中、花林ちゃんの存在を知ることになったのは、毎公演お世話になっていた床山さんの壁に貼られていた一枚の写真だった。
そこには、公演中に男役をすることになった花林ちゃんの、自分を捨てきった、なんとも愛らしい男役姿があった。
それを見て、「星組に面白い人いるな……」と認識したのが最初だ。
それ以降、星組公演のたびに花林ちゃんを見るのを楽しみにしていたのだが、気になり始めてから一年後、彼女が卒業するという知らせが耳に入った。
そのことがすごく寂しかった私は、あいさつ回りをしていた花林ちゃん声をかけた。
下級生とはいえ、そう簡単に人に話しかけられない自分にとっては珍しいできごとだった。
辞めたらどうするの?という話になったとき、
「フォトグラファーになるんです」 と彼女は言った。
人間としてこんなにも魅力的な花林ちゃんには、どんな風に世界が見えているんだろう……?
そのことが気になった私は、それ以降機会があれば花林ちゃんに撮影をお願いし、ときには梅田の高架下、ときには神戸元町の中華街で、唯一無二の暑中お見舞いや年賀状の写真をたくさん撮影してもらっていたのだ。
「私のアー写を撮れるのは、花林ちゃん以外いない!」
私はさっそく花林ちゃんにアポを取った。
が、連絡した直後にとある懸念が生まれた。