どうも。最近食卓用テーブルを新調したのですが、なんか血迷ってめっちゃ大きいものにしたんです。どれくらいかっていうと、まあ、「最後の晩餐」ができるくらいには大きいものにしたんです。
それを旦那さんと私の2人だけで囲む……っていう、謎の贅沢机使いの日々を過ごしています。
どうしてそんなことをするのかって……?
夢だったんです……!!!! だだっ広いテーブルの端と端に座ってしんみりと食事する、何もかも手に入れた貴族の晩餐ごっこをするのが……!!!!
というわけで突然の夢物語からはじまりましたが、今回もよろしくお願いいたします。
「歌って踊れるサラリーマン」爆誕?
前話にて、「全組、全公演を観に行く……そのために働こう」と心に決め、心新たに職場へ向かったサラリーマン天真みちる。
だが、思っている範疇を超えた怒涛の業務が打ち寄せてきたのだった……
当時の役職であるアシスタントプロデューサー業は、担当するコンテンツのグランドスケジュールの草案を出したり(製作にあたり、Excelとの最悪な出会いから始まる奮闘日記があるのだが、それについてはまた別の機会にお話しするとしよう)、議事録製作、出演する演者さんの稽古日程の管理、稽古場の手配、体調管理、本番の衣装管理、各事務所の方のLIVE招待手配、楽屋準備……などなど、
今までの劇団員という立場とは真逆の位置にある、「サポート力」を求められるものが多かった。
現場でのサポートは、下級生時代に上級生の方のサポートに入ったり、新人公演の本役さんについてまわったりと、経験あるものが多かったので、衣装管理や体調管理などについては自ら考え行動できたのだが、それ以外はほぼ未知の領域。
兎にも角にも、資料製作&データまとめに時間がかかってしまう。
ギリギリに提出した議事録を持ち会議に出席するも、打ち合わせの最初に上司が言った「ブレストしていきましょう」という言葉の、「ブレスト」の意味が分からず、「ブレストってなんぞや?」と冒頭そればっかりに気を取られて肝心のアイデア出しには遅れを取ってしまう。
何をするにも誰かのサポートなしにはどちらに進めば良いかもわからない。
演者さんをサポートする私のサポートをする上司……
早く、早く仕事を覚えたいぜ……とパソコンとにらめっこする。
そうして、新人サラリーマン生活が3カ月程たったある日……
社長の意向で社員の名刺を刷新する事になった。
その際に、名刺に記載する役職を変えることができるという話になった。
会社の上司から、
「そういえば確認していなかったが、あなたはアシスタントプロデューサー1本でやっていくのか?」
と、疑問を投げかけられた。
というのも、サラリーマンとして過ごす中、インスタのダイレクトメール(この、Instagramのダイレクトメールの存在を知るまでに1カ月かかったのだが、この件についてもおいおいお話しするとしよう)に、ありがたいことに「タレント」として仕事のオファーが送られて来るようになっていたのである。
そんな事があっての上司からの問いかけに、
「私は……アシスタントプロデューサー1本でやっていく……のか……?」
と、疑問に疑問で返すという最悪の返答をしてしまった。しかもタメ口で。最悪 of 最悪。
たしかに、自分の職種について不明確な部分が沢山ある気はしていた。「私は今後具体的にどう生きて行けばいいのだろうか」と、その日から人生の方針について細かく考えるようになった。
会社からは、今現在の業務に支障をきたさなければ、タレント業も業務として並行して良いと言われた。だが……
二毛作的な、二足の草鞋的な、そんな器用なことが果たして自分にできるだろうか……?
敏腕プロデューサーになるために、まずもってアシスタントプロデューサーとしての資質が不十分過ぎるので、まずは、今の業務をしっかりとこなすことに集中した方が良いのではないか。
え、ちょっと待て、私って敏腕プロデューサーになりたかったんだっけ……?
え、ちょっと待て、私って何になるんだっけ……?
私は本来めざしていた方向すら見失い、途方に暮れた。
そんなある日のこと、同期の煌月爽矢(あきづき・さや)=現・中原由貴(なかはら・ゆうき)から、パーソナリティを務めるラジオのゲストとして出演しないか?という、退団後初の「出演系」イベントのお誘いを頂いた。
久しぶりの再会と、宝塚歌劇団を卒業しても、再び同期と仕事ができるという、エモいオファーに二つ返事で承諾し、会場であるたまプラーザへ颯爽と向かう途中……
ふと、そう言えば自分は、在団時に使っていた
「見たくなくても、アナタの視線にダイビング!花組の視線ドロボウ天真みちるです!」
という、長年愛用してきた自己紹介がもう使えないことに気がついた。
もう私は、花組の視線ドロボウじゃない……。
では、なんと自己紹介すれば良いだろうか……?
サラリーマンタソ太郎、サラリーマン天真みちる……これはただのパクリだなあ……
遅れてきた新人サラリーマン、大いなる新人サラリーマン……笑えない冗談と捉えられたらおしまいだ……
あーでもない、こーでもないと、田園都市線で電車に揺られながら考えに頭を巡らすこと小一時間……突然アイデアが頭に落ちてきた。
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