どうも。
最近ハマっているものについて書きます。
最近栗にハマっています。以上です。それではよろしくお願いします。
たそ、インスタ始めたってよ
前話にて、「宝塚歌劇団を卒業した男役が、一番はじめに挑戦してみたくなるイベント」は「スカートを履くこと」だとお話しした。では、スカートに次いで「二番目」に挑戦してみたくなるイベントは何だとお思いか。
それは……「SNSデビュー」だ。
タカラヅカはFacebookやInstagramに劇団の公式アカウントがあるが、現役生徒一人ひとりの個人アカウントの開設は禁止となっている。
そんな在団当時のコミュニケーションツールと言えば「お手紙」がメインだった。
公演の感想や励ましのお言葉など、メッセージはすべてお手紙で頂いており、こちらからも公演中お世話になった方々へのご挨拶、次回公演のご案内など、公演に関するやり取りはすべて手紙で交わしていた。
つまり、ほぼ「文通」でやり取りをする、なんとも奥ゆかしい文化なのである。
ファンの方々は、次回公演がイギリスの話ならロンドンの街並みやロンドンバス柄の絵葉書、庭園がテーマのショーなら花々の散りばめられた便箋など、作品の世界観に合ったものにして下さったり、作品に関する資料や情報をご教示下さったりと、細部までこだわり抜いたお手紙を送ってくれる。
時折ワープロ印刷の方もいらっしゃるが、ほぼほぼ「直筆」なので、筆跡を通して個性が伝わってくる。
一通送るだけでもかなりの手間暇がかかっているお手紙は、その封筒の中に送り主のすべてが宿っており、何度か文通を重ねるうちに、それぞれの人となりも感じられるようになってくる。
それに加え、コロナ以前のタカラヅカでは、公演前と終演後、稽古前と後に、ファンの方が生徒をお見送り&お出迎えする「入り待ち・出待ち」というリアル対面イベントが基本だった。
自分を特に深く応援してくださっているファンの方は、入団当時から日常的にやりとりをしているので、10年以上かなりの頻度で顔を合わせている間柄になる。
そんな、ほぼ「相手の表情が見える」アナログコミュニケーションで育った私は、「相手の表情が見えない(ことの多い)」デジタルコミュニケーションに移行するのに、最初はかなり抵抗があった。
しかし、うだうだと管を巻いていても、時が流れるだけ……。
私は覚悟を決め、退団してから約1か月後の11月18日、誕生日という記念日も兼ねてInstagramを開設することにした。
しかし、超絶アナログ人間がデジタルに挑戦するのは困難の連続だった。
友人に手取り足取り教えてもらってなんとかアカウント登録するところまでこぎつけたものの、投稿ボタンを探すの一つ、写真のチョイス一つ、文章の改行の仕方一つ、どれも小1時間は苦戦した。
あげく、文章は伝えようと思っていたメッセージの半分以下のシンプルなものとなり、画像に至っては、これが全世界に拡散されるのか……というこっぱずかしさから、写真ではなく、同期の大澄れいが描いてくれたイラスト1枚という、謎シンプルクオリティのまま、なんとか投稿した。
初のデジタル移行にすべての神経を持っていかれた私は、投稿したところで満足し、
「気づいてくれる人おったらええなあ……」
ぐらいの気持ちで、アプリをそっ閉じした。
それから5分後……
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