どうも。
少し前の事ですが、とある番組に「宝塚にトップスターを目指して入団したのに、ひたすらおじさん役だけを演じてそのまま退団した人」として出演させていただきました。
正直、めちゃくちゃ光栄でした。
自分は劇団に必要とされていないんだ、と、悲しんだ先のご飯5合炊き事件など……
自分の穴に入りたくなるような出来事が時を経て愛おしく思える日が来るなんて……と感慨深かったです。
それよりなにより、一番嬉しかったのが、
番組を見た方から、「食べな!」と言わんばかりにお米を頂いて(笑)。
ちょっとしたお米マイスターになれそうなくらい、全国津々浦々のお米を堪能させて頂いております。
ホントにありがとうございます。美味しく頂いてます!
いつだって育ち盛り!!! よろしくお願いします!!!
スカートを履ける、という事実
宝塚歌劇団を卒業した男役が、一番に挑戦してみたくなるイベント……
それは、「スカートを履く」ことだと思う。
私はかれこれ、宝塚音楽学校を卒業して以来、約13年スカートを履かなかった。
といっても、在団中は、公演の中で「イロモノ」担当だったので、あくまで衣装として、スカートを割と定期的に履いていた方だったとは思う。
まあしかし、板の上では無く、地上ではスカートを13年間履かなかった。
そんな私が……スカートを履く。
卒業公演中、お会いする宝塚OGの方々は、「辞めたらスカート履けるよ~♪」と、とても楽しいイベントが待っているかのように皆口を揃えて私に囁いてきた。
だが、私にとってスカートが履けることはさほど楽しいイベントでもなかった。
在団中は、絶対に履いてはいけない!というようなお達しはなかったと思うのだが、一男役を研究している身としては「履きたい!」というメンタルにならなかった。
なので、卒業した瞬間からスカートを履けるという事実が信じられなくて、向き合う気持ちになれなかったのである。
これは……向き合うまでに大分時間を要するだろう……。「よし! 履こう」と思うまでに1,2年はかかるだろう……と、長期戦の覚悟でいた。
しかし、「決戦の日」は意外と早く訪れた。
というか……卒業した次の日に訪れた。
きっかけは、自身の卒業公演の千秋楽後、ファンの方々にお礼を伝えるためのフェアウェルパーティー。司会を担当してくださった鳳真由(おおとり・まゆ)さんにお礼のご挨拶をさせていただいていた時のこと。
会話の流れで明日の予定をお伺いすると、会場付近のアパレル店で仕事をされるということで、 OGライフ初日の予定として、冷やかしに行くことにした。
そして、そこで鳳さんに接客していただき、
「ね、せっかくだからスカート履いてみない?ここのスカートとっても素敵なの!」
と、巧みな接客術にまんまと乗せられ試着することに。
試着した私を見た鳳さんは、
「え! 全然違和感ない! 履きこなしてるよ!」
と褒めちぎった。 更には、
「(周りの店員さんに)似合ってますよね! カワイイ~」
「(周りの店員さん)カワイイです~。似合ってる~」
と、私の周りをぐるりと囲み、巧みな話術で神輿に乗せてくる。
私は、
「騙されるまい!! 買いに来たみんなに言ってるんだ! 私にだけ言ってるんじゃない……」
と、心の中で言い聞かせた……
次の瞬間、丁寧に袋詰めされたスカートを手に持っていた。
さらにその次の瞬間、スカートに着替え、東京宝塚劇場の入り口で写真を撮っていた。
こうして、鮮烈なスカートデビューを果たした私はすっかりスカートの可愛さに夢中になった。
娘役の先輩(=スカートの先輩)と一緒に買い物に出かけ、おススメされるスカートを片っ端から買い漁った。
そしてどこへ行くにもスカートを履いて出かけた。
ある日……とあるお店でとてつもなく可愛いオーラを放つスカートが目に飛び込んできた。
淡いオレンジとグリーンのチェック柄、同柄のブラウスとセパレートでも、ワンピースとしても着ることのできる、最強アイテム。そんなスカートが「私を買って~。私を着こなして~」と呼びかけてくる。
ここまでで目についたスカートを片っ端から買い漁り、「スカート貧乏」になっていた私は耳を塞いだ。聞いちゃダメだ! ちょっと節約しないと、スカートで破産するぞ……!
次の瞬間、丁寧に袋詰めされたスカートを手に持っていた。
そして次の瞬間、その格好を誰かに披露したいと思った。
ちょうど次の日に、宝塚OGの壮一帆(そう・かずほ)さん、鳳真由さん、愛加(まなか)あゆさんと約束があったので、私はこのスカートを履いて会いに行くことを決めた。
翌日…… お気に入りのスカートに身を包み、意気揚々と待ち合わせ場所へ。
この格好見たら何て言うだろう?「たそにも衣装だね!」なんて言ってくれないかしら?ウフフ……♡ 弾む心を押さえながら皆さんの到着を待った。
そこへ……壮さんが現れた。
「壮さん……!」
スカートを翻し、壮さんの元へ。
私のスカート姿を見た壮さんは開口一番、
「たそ! スカート可愛いやないか!」
と、一番欲しかった言葉をかけてくださった!!
わあい! 褒められたうれしい!と喜ぶ私。
だが、次の瞬間、壮さんは、