家事をやめる

絶望せず老いるための家事とは

掃除して洗濯して料理して皿洗って……生活に面倒な家事は付き物。のはずが、「ノー家事」生活を謳歌する人がいます。連載「買わない生活」が話題の稲垣えみ子さんです。あるきっかけから人生で初めて、面倒な家事を一切しなくとも清潔で快適、この上なく気持ちの良い暮らしを手に入れ、今や毎日が楽しくて仕方ないとか。圧倒的ローコスト、ローエネルギー、ローウェイストで幸福度が確実にアップする「ノー家事」生活の全貌とは。

雨の合間を縫って梅干しをようやく干す。丁寧な暮らしというより、夏祭りのような恒例行事

人は誰でも老いていく。これまでできていたことが、一つ一つできなくなっていく—。  
それは残念ながら、現代の誰もが逃れることのできない現実だ。  
金持ちだろうが大統領だろうが関係なし。  
科学が解決? 残念ながらそれも望み薄だ。むしろ医療の発達で、問題はより深刻化している。人生100年時代とやら。それは若さの延長ではなく、まさかの老いの延長であった。病み、衰え、日々無力になっていくばかりという辛く悲しい時間がぐんと引き延ばされた時代を、我らは歯を食いしばって生きていかねばならなくなったのだ。

というわけで当然、誰もがそのことに怯えているわけです。  
でも私の見る限り、「コレ」といった解決策はまだ現れていない。  
せいぜい、あれこれの健康法をお勧めしたり、金を貯めて乗り切ろうと呼びかける程度のことである。もちろんいずれも無駄ということはなかろうが、いくら健康に気をつけていても病気になるときはなる。いやむしろ、長生きをすれば認知症になる確率は確実に上がっていく。というわけで、残念ながら本質的な解決策とは言えない。

金の力とてやはり万能ではない。高級老人ホームで至れり尽くせりの老後を過ごしたとて、それが本当に幸せなのだろうか。昨日できたことが今日できなくなる、自分が自分でなくなっていく、自分が誰からも必要とされなくなっていく……という老いの本質的な悲しみは、豪華な調度品に囲まれたベッドの上で過ごしたとて、そう簡単に癒されるものではなかろう。

というわけで、ああ一体どうしたら……と立ちすくむ我ら。  
ところが私。まさかの。大変に現実的な解決策を思いついてしまったのだ。誰でもできるし、お金もかからないし、そして確実に成果が得られる方法である。

それはですね……。
そう、「家事をやめる」ことであります。  
すなわち、暮らしを思い切りシンプルにして、便利なものに頼らず、自分の五感をフルに使って、日々生き生きと、楽しく、そしてカンタンに、自分で自分の面倒をみて暮らすことだ。

一体なぜそれが、老いの苦しみをなくすのか? はい。それをこれから説明しようと思う。

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家事をやめる

稲垣えみ子

我が人生から、家事が、消えた。50年近くずっと格闘してきた家事が、気づけば、消えていた。 それなのに、家の中は整っていて、気分は晴れやか。しかも圧倒的ローコスト、ローエネルギー、ローウェイストという夢のような事態。そんなノー家事生...もっと読む

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コメント

33551 面白かった(^^) #スマートニュース 2ヶ月前 replyretweetfavorite

occhaho 「集団の中で、自分のできることはしっかりと行いながら、環境の変化の少ない暮らしを何十年も続けている」のだ。 これ認知症の人の話のことだけど、生活を複雑にすることについてなんかぼんやり考えてしまった。 https://t.co/ggypLIY2Ox 2ヶ月前 replyretweetfavorite