コロナ禍で生まれた、体と心が飼い慣らされる感覚への恐怖

秋の行楽日和を迎え、思いきって初めて車を購入した蘭ちゃん。でも、じつは雨が好きで、コロナ禍の停滞した生活に「雨のようだ」とある種の居心地のよさも感じていたそうです。そんななか、次第に蘭ちゃんを動かしていった危機感とは?(毎週火曜日更新)

サクちゃんへ

こんにちは。
すっかり秋ですね。過ごしやすくなって気持ちいい、本当に行楽日和です。

来月には人生で初めて買った車が届く予定です。車屋さんに聞いたところ、今月は販売台数が一番だったのだとか。コロナ禍でみんな、お出かけしたい気持ちが強まっているのでしょう。インドア派かつペーパードライバーな私が車購入に踏み切るくらいなのですから。

実家でも車を持っておらず、車がある人生というのはこれまで経験したことがありません。
思い切ったことをしたものだといまだにドキドキしています。時々、アクセルとブレーキを踏み間違える夢を見て慌てるくらいに。安全運転第一で行きますね。

ー・-・-

さて、今も毎日のようにサクちゃんにおすすめしてもらったラジオ番組『OVER THE SUN』を聞いています。パーソナリティのミカさんとスーさんの笑えてなおかつ滋味深いトークに、日々癒され続けています。

二人の笑い声や楽しそうなやりとりを聴いていると、なんだかこちらまで嬉しくなるのですよね。すると、私の中からも話したいことが続々と湧き上がってくるように感じます。人の話を聞いていると、自分の話も湧き上がってくる。私のぼんやりとした日常の中にも、話すべき興味深いことがあるのだなと思います。

サクちゃんは前回、インスタに日記を書くことで「個人的な小さなエピソードを通して、大げさにいうと自分が存在したのだ、心はあるのだと確かめているのかも」と書いていましたが、私はそれをカウンセリングではもちろん、ラジオでも確かめているのかもな、と思いました。

このラジオで特に楽しみなのは、パーソナリティのお二人がリスナーからのお便りを読む時間なのです。毎回、リスナーの方それぞれのテーマがあり、エピソードがあり、意見や感情がある。それらに耳をすましていると、私の中からも「個人的な小さなエピソード」が顔を出し始め、自分の「心」を感じられるように思います。きっとその感覚を「癒し」と感じているのでしょうね。

サクちゃんは散歩の時にラジオを聴くと言っていました。
私は家事の時に聴いています。料理をしたり、洗濯物を干している時など。

それから、ご飯を食べる時。私は家でひとりで仕事をしているので、昼ご飯は家でひとり、適当なものを食べることが多いのですが(用意するのが面倒なので、ほぼおにぎりとお味噌汁です)、その時にラジオを聴くようになりました。

これまでは行儀が悪いことに、仕事をしながら、本やスマートフォンを見ながら、ぱぱっと食べていたのですが、ラジオを聴くようになってからは、少し食べるスピードが遅くなりました。

まるで二人と話しながらランチしている、みたいな気持ちになっているのかもしれません。相変わらず食べるものは変わりませんが、食べるときの気持ちは変わってきました。ちょっと豊かに、ずいぶん楽しいランチの時間となっています。

それとともに、自分がこういう時間を渇望していたのだということに改めて気がつきました。

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サクちゃん蘭ちゃんのそもそも交換日記

土門蘭 /桜林直子

東京でクッキー屋さんをしている「桜林直子(サクちゃん)」と、京都で小説家として文章を書く「土門蘭(蘭ちゃん)」は、生活も仕事も違うふたりの女性。この連載は、そんなふたりの交換日記です。ふたりが気が合うのは、彼女たちに世界の「そもそも」...もっと読む

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