草笛光子が「老いとは億劫との戦い」と言っていた

今回取り上げるのは、俳優の草笛光子。先日、中谷美紀、土屋太鳳とともに『ボクらの時代』に出演していたことが話題になりましたが、それを見た武田砂鉄さんは、草笛光子の言葉からなにを感じたのでしょうか?

「いやいや、もう若者じゃないっすよ」

数日前、喫茶店に行くと、ワクチン接種を終えたと思しき高齢者の集いが、かつての勢いを取り戻したかのように、それぞれの身体の不調を大きな声で報告し合っていた。周りが静かなだけかもしれないが、とにかく店中に4人の声が響いている。最新の不調ネタを持ち寄っており、深爪、腰痛、めまい、内科系の再検査の話を続けた。流れるような報告を改めて頭の中で並べてみると、話すたびに症状が重たくなっており、これも阿吽の呼吸の一種なのだろうか。最初に再検査の話をされたら、深爪の話はしにくい。いや、それはそれで、話が巧妙に流れていくのだろうか。

こちらは来年で40歳になるのだが、20代から見ればすっかり中年だし、70代から見ればまだまだ若者である。東京都が設置した若者ワクチン接種センターの接種対象が39歳までと聞いても、「おっ、まだ若者じゃん」と主張できる元気をもらえるはずはなく、どんなに広域で捉えてくれる組織であろうとも、若者と呼ばれる最終段階に入ったと実感する。「いやいや、もう若くないっすよ」が使える期限が近づいているのだが、諸先輩に聞けば70代は90代に「まだまだ若い」と言われるそうだから、若い・若くないを巡る話は延々と続いていくらしい。

気品と皮肉は同居できる

このところ、すっかり芸能人ばかりの座組となり、ドラマや映画の宣伝番組になりがちなのが『ボクらの時代』(フジテレビ系)だが、自動的に録画される設定になっているのでほぼ毎週見ている。「実際に映画を撮ったのはもう1年半前だから、こうして会うのは久しぶりだよね」といったヌルい話が多くなり、そういった時には早送りをするのだが、9月5日の放送で、中谷美紀・土屋太鳳と共に出演した草笛光子の佇まいは、さすがに早送りを拒む風格に満ちていた。以前、草笛光子のエッセイ『いつも私で生きていく』(小学館文庫)を読んでおり、そこに、「老いとは〝おっくう〟に支配されていくこと」というくだりがあり、やたらと頭に残っていた。

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365日四六時中休むことなく流れ続けているテレビ。あまりにも日常に入り込みすぎて、さも当たり前のようになってしったテレビの世界。でも、ふとした瞬間に感じる違和感、「これって本当に当たり前なんだっけ?」。その違和感を問いただすのが今回ス...もっと読む

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コメント

natsumi_0285 ボクらの時代、ヌルい会話が多くなったってくだり、同意すぎる。 3ヶ月前 replyretweetfavorite

hiroop34 この時の「ボクらの時代」見てた。草笛さん素敵でもっと話を聴きたかったなー。 3ヶ月前 replyretweetfavorite

poeta19741 流石に格好いい。 3ヶ月前 replyretweetfavorite

kaorun67 「老いとは億劫」 「気品と皮肉は同居できる」 品は1日にしてならず、やな(それっぽいこといってみる) 3ヶ月前 replyretweetfavorite