塩や砂糖、米、乾燥パスタなど食品棚に備えておきたい食品はいくつかありますが、トマトの水煮缶もその一つ。トマト缶と乾燥パスタがあればそれだけで一食成立しますし、もちろん他の料理にも使えます。缶詰は長期間保存できるので、まとめ買いしている人も多いでしょう。
一方、トマト缶はスーパーに行ってもなんとなく選んでいるケースがほとんどではないでしょうか。しかし、トマト缶の味は製品によって大きく異なります。
さらに厳密にいえば、トマトは農産物なので、同じ製品でも年によっても味が変わってきます。そのため、雨が少なくトマトの出来がいい年のものを選んで使うシェフもいるほどですが、トマト缶選びはそれだけ重要なのです。
おいしいトマト缶の選び方
今日のテーマは〈トマト缶〉。トマトは様々な形に加工される農作物ですが、その代表が「ホールトマト」です。
ホールトマトはトマトの皮を剥いた後、トマトジュースと一緒に缶詰にしたもの。缶を開けるとゴロッとした細長い形のトマトが入っていますが、このトマトは加熱用のうま味と風味が強いもので、ロマーノ種かロマーノ種とサン・マルツァーノの交配種が多く使われます。
ちょっと料理に詳しい方は「ホールトマトって、サン・マルツァーノじゃないの?」と思うかもしれませんが、純粋なサン・マルツァーノ種のトマトはイタリアでも高級品。サン・マルツァーノを使ったトマト缶を見分けるのは簡単で「DOP」というマークが入っている(DOPとはイタリアの原産地名称保護制度です)ので、間違えにくいです。
高級品のサン・マルツァーノは、さすがにおいしいので、今回はDOP認証のついたホールトマト缶をおすすめします……とはいかないのが難しいところ。問題は入手しづらいことで、イタリア食材専門店であれば取り扱ってますが、価格も高く、普段使いという訳にはちょっといきません。
では何を基準に選べばいいのでしょうか? もちろん食べものですから味が重要です。ただ、味だけではなく価格とのバランスや入手しやすさも重要ですし、味は好みの世界なので、結局は主観で選ぶしかありません。そういうわけで僕が個人的に使っている製品はこちらです。