​党派性で考えない

今回の林伸次さんのコラムは、次の一万円札の顔になることが発表されている渋沢栄一のお話です。彼が引き立てられた経緯から、党派性について考えます。

渋沢栄一を引き立てた平岡円四郎

いらっしゃいませ。
bar bossaへようこそ。

2024年に1万円札の顔が渋沢栄一なります。幕末に生まれ、日本の銀行や証券取引所、大学や研究所などの設立に尽力した、「日本資本主義の父」と言われる人物です。

この人、埼玉の豪農の出身でして、幕末のころはこういう豊かで教育を受けるチャンスのあった農民たちや下級武士たちが、幕府を倒して、次の時代を作ろうと企んでいたわけですよね。渋沢栄一自身も「尊皇攘夷」を考えていたそうなのですが、一橋慶喜(徳川慶喜・最後の将軍です)の一橋家に仕えることになるんです。

渋沢栄一は「江戸幕府を倒せ~!」という革命派だったのに、幕府の重鎮で慶喜の側近だった平岡円四郎が渋沢栄一に出会って、「こいつ、めちゃくちゃ面白い!」って、才能に惚れ込んじゃったんです。それで平岡は「その『幕府を倒せ!』はわかった。でもさあ、君、すごい才能あるからうちで働かない?」って誘ったんです。

渋沢栄一は結局幕府の中の人になって、でもガンガンそこで実績を作って認められ、パリ万博にも派遣されました。もちろん渋沢栄一にはすごく才能があったのでしょうが、平岡円四郎に見いだされることによって、その才能が発揮できたのは間違いありません。やっぱり、敵側の思想を持っているのに渋沢栄一の才能を見抜いて採用した平岡円四郎こそが、歴史の鍵になっていると思うんです。

先日、音楽ライターの兵庫慎司さんに聞いて興味深かったのは、最近はインターネットが普及したことで、より実力が重視されるようになったという話です。今は事務所やレコード会社は、YouTubeやアマチュア用の音楽サイトとかを全部チェックして、才能を発掘しています。このcakesの姉妹サービスのnoteにしても、文章が面白い人、才能がある人は誰かが見つけて、ピックアップされることが多いはずです。「どこかに埋もれてしまう才能」ってほとんどなくなったんです。

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ワイングラスのむこう側

林伸次

東京・渋谷で16年、カウンターの向こうからバーに集う人たちの姿を見つめてきた、ワインバー「bar bossa(バールボッサ)」の店主・林伸次さん。バーを舞台に交差する人間模様。バーだから漏らしてしまう本音。ずっとカウンターに立ち続けて...もっと読む

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コメント

gabcik_jozef 党派性で考えない|林伸次 @bar_bossa | 28日前 replyretweetfavorite

sousou37788624 党派性で考えない|林伸次 @bar_bossa | 真の多様性の在り方では‥⁈ 歴史から学ぶってこういうことだなぁ✨✨ 約1ヶ月前 replyretweetfavorite

datadisk_tokyo なるほど。 枠にとらわれず、その人を見れたらと、思いました。 約1ヶ月前 replyretweetfavorite

__comfort__ 党派性で考えない|林伸次 @bar_bossa | 約1ヶ月前 replyretweetfavorite