ポリアモリーと性依存症の「難しさ」

複数の人と同時にそれぞれが合意の上で性愛関係を築くライフスタイル「ポリアモリー」。今回はセックス依存症をテーマにした漫画作品をもとに、性依存とポリアモリーの大きな違いを明らかにしながら、両者に通じる「難しさ」についても考えていきます。


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こんにちは、きのコです。

以前、「『ビッチ』『ヤリマン』『セックス依存症』と言われるけれど」という記事で、セックス依存症について取り上げました。そこで紹介した津島隆太さんの「セックス依存症になりました。〈決定版〉」という作品の最新話でポリアモリーが扱われていたので、今回はそのことについて考えたいと思います。

性依存症になって「自分はポリアモリーだ」と言い出す人

作品のあらすじ:
奔放な性生活を謳歌してきた青年・津島は、女性からの暴行事件を機に心身に不調をきたした。医師から「セックス依存症」の疑いがあるとの診断を受け、勧められたグループセラピーを通して様々な人々と出会う。 露出癖のある若者、痴漢常習犯、不倫にハマる美女。時に罪に手を染めつつも<嗜癖>に耽溺する人々との出会いが、惑う津島の心を、少しずつ、しかし確かに変えていく──。
集英社コミック公式 S-MANGAより引用)

この話によれば、性依存症になって「自分はポリアモリーだ」と言い出す人はよくいるそうです。多くの依存症者はあらゆる理屈を駆使してまず問題行動を正当化しようとするので、その理屈としてポリアモリーは利用しやすく、本人もそう信じたがるのだとか。
しかし、ストーリーの中でも語られているように、ポリアモリーはそもそも合意を大切にするパートナーシップのあり方なので、合意のある性関係が結べないようであれば、それをポリアモリーと呼ぶことはできません。
この物語に出てくる、自称ポリアモリー イブさんの彼氏リョウさんのように「本当は嫌だけど、『ポリアモリーだから』って言われて泣く泣く飲んだ」という状況であれば、その関係性はやはり健全なものだとは言えないでしょう。

この話を読んで、ポリアモリーの目指す「合意」がいかに困難で繊細なバランスの上に成り立つものなのか、自分のこととしても、改めて身につまされました。理想を言うなら、イブさんとリョウさんとが精神的に対等な関係性のもと「こうしてほしい」「こうしないでほしい」とお互い率直に話し合えればよいのですが、リョウさんが「こんなブサイクなボクでも付き合ってくれるし、優しい人なんです」と言っているように、自分に自信がなかったり相手に捨てられるのが怖かったりすると、つい自分の気持ちを押し殺して相手の言いなりになってしまいがち。私自身、パートナー達にうっかりこのような我慢をさせていないか、あるいは破局を恐れるあまり自らを抑圧してしまっていないか、常に振り返る必要があると思っています。

ポリアモリーはセックスのあり方の話ではないけれど

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わたし、恋人が2人います。

きのコ

「ポリアモリー」という言葉をご存じでしょうか? ポリアモリー(複数愛)とは、複数の人と同時に、それぞれが合意の上で性愛関係を築くライフスタイルのことをいいます。浮気でも不倫でも二股でもない「誠実で正直な複数恋愛」とはどのようなものなの...もっと読む

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コメント

kurimatu044 きのコ @kinoko1027 | 『「やめ続ける」という永続的なプロセスの中にしか、寛解はないと言えるでしょう。ある意味では、 4ヶ月前 replyretweetfavorite

Zee_EndingNote この記事を必要としている人に この記事がどうか届きます様に ( ^ω^ ) --- 4ヶ月前 replyretweetfavorite

kinoko1027 津島隆太さんの「セックス依存症になりました。」を読んで書きました 4ヶ月前 replyretweetfavorite