野菜の皮むきは面倒な作業。それをかんたんにする道具が『皮むき器=ピーラー』です。
ピーラーはいつのまにかキッチンに仲間入りしていた道具。『キッチンの歴史』(河出書房新社 真田由美子訳)を著したライターのビー・ウィルソンによるとピーラーは「20世紀半ばには身近なものになっていた」とありますが、その起源ははっきりしていません。しかし、知らないうちにきちんと進化していて、昔よりも使いやすくなっています。
ピーラーの種類は様々。100円均一のお店で売られているような安価な製品から高級品など価格帯も幅広く、選ぶのが難しい道具です。いいピーラーはストレスなく皮が剥ける製品。反対に質の良くないものを選ぶと皮が剥きづらく、ストレスが溜まります。
日本で一般的なピーラーは刃が横向きについているT字型タイプ。一方、ヨーロッパやアメリカではナイフに近い感覚で作業ができるI字型も人気です。包丁のように動かすI字型は使い方にややコツがあるので、今回は一般的なT字型について解説を続けます。
どのピーラーがいちばんか?
次のポイントは刃の材質です。刃には「ステンレス」「セラミック」「ハガネ(カーボンスチール)」の3種類があります。
ステンレスは錆びにくく、切れ味がいいのが特徴。一方、セラミック製は錆びない、というメリットがあります。昔は「衝撃に弱い」と言われてましたが、最近では強度が上がり、その心配はなくなりました。一方、ステンレスやハガネと比べると刃が厚くなるので、切れ味が物足りない製品も多い傾向。
ハガネの刃ではドイツ、リッター社のピーラーが代表的な製品です。ハガネのピーラーは飲食店でも愛用者が多いですが、錆びやすいという弱点があります。
ハガネのピーラーには高級品もあり、例えば食品工場で愛用されているDREMAXのピーラーは定価で22000円(!)という価格ですが、刃がカーブを描いていて、ダイコンの皮も数回で剥ける優れもの。もちろん、家庭には必要ない製品ですが、必要な場所には需要があるところにピーラーの世界の奥深さがわかるでしょう。
価格や使いやすさのバランスを考えれば包丁と同じように錆びないステンレス製を選ぶのがベター。また、日本の刃物は優秀とよく言いますが、たしかに日本製の方が総じて、切れ味はいい傾向があります。
さて、ピーラー選びには忘れがちなポイントがいくつかあります。その点を考慮しつつ今回、ぼくが選んだのは、