02. お風呂に入りたくない時に読みたい本
『たいのおかしら』
さくらももこ( 集英社文庫、二〇〇三年)
効く一言
腹が出ようが出まいが、ヒロシにとってはそんな事はどうでもいいのである。彼にとって一番の問題は、近所のおいしい魚屋が定休日のときはどこで買うのがベストであるか、という事ぐらいなものなのだ。
生涯、一度も、お風呂に入ることに「めんどくさっ」と思ったことのない人、なんていないんじゃなかろーか。
私が一人暮らしを始めたとき、一番驚いたのが、「入浴」の自由さとめんどくささだった。
実家にいた頃といえば、お風呂とはそもそも入りなさーいと言われて入るもんであって、そこには強制力しかない。当たり前だ、お湯が冷めてしまうし。だからこそ入浴という習慣が自由に己の手の中におさまるだなんて思いもよらなかった。自分ひとりのためだけにお湯をためる恍惚よ! ちなみにわたくし湯船につからないと生きていけない族。
しかし入浴の恍惚は同時にめんどくさいという感情を連れてくる。ごはんを食べ、スマホを見たり読書をしたり、果てはTSUTAYAで借りてきた映画なんか観始めた日には、完全にお風呂 is 邪魔者だ。昨日の味方は明日の敵。
ごめんなお風呂、私はきみよりももっと抱き合いたい人間を見つけてしまったのだよ。まぁ返却期限が明日の図書館で借りた本のことですが。